F-16やA-10Cにも搭載!「空対空ロケット弾」復権へ 米軍が戦闘機に再び使い始めたワケ
アメリカ軍が戦闘機に空対空ロケット弾を搭載するようになりつつあります。ただ、空対空ロケット弾は、一度は廃れた装備。それが今ごろになって再び脚光を浴びるようになったのは、どういう理由からなのでしょうか。
高性能→高価格が進む空対空ミサイル
近年、軍事におけるドローンの存在感は急速に高まっています。偵察、攻撃、輸送など、その用途は多岐に渡り、その低廉なコストと運用性の高さから、各国の軍備において重要な役割を担いつつあります。
そのようななか、1機あたり数百万円もする高性能な自爆型ドローンは、ほとんど小型の巡航ミサイルのような存在です。最新型では、敵地の奥深く数百km以上にわたって侵入し、精密な攻撃を行う能力を持っています。
これら高性能な自爆型ドローンの迎撃には、現状、対空ミサイルが多用されています。ただ、数百万円のドローンを撃ち落とすために1発あたり数千万円から数億円もする対空ミサイルを用いるのは明らかに割に合いません。
とはいえ放置すれば、それ以上の深刻な被害や人命に関わる被害を出す可能性も高まるため、背に腹は代えられず使うパターンが多いようです。軍にとって、ドローンへの対策は喫緊の課題と言えるでしょう。
このような状況下、航空機搭載用の空対空ロケット弾に再び注目が集まっています。これは航空機搭載兵装のAGR-20A「APKWS(Advanced Precision Kill Weapon System)」誘導ロケット弾というもの。構造としては、従来あった空対地用の無誘導ロケット弾「ハイドラ70」にレーザー誘導装置を取り付けたもので、レーザー照射によって目標を精密に攻撃することができます。
もともと対地攻撃用兵装として開発されたものであり、炸薬量こそ他のミサイルに比べて少ないものの、精度の高い攻撃によって目標に直撃弾を与え、確実に破壊することができる特徴を有します。また市街地での使用においても最小限の破壊で済ませることが可能なため、「コラテラル・ダメージ(戦闘における民間人への被害)」を最小限に抑えた攻撃方法を取りやすくなっています。
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