3国共同開発「空自の次期戦闘機」、イギリスはどう作る? 開発の要に聞く“最新手法”
過去の国際共同開発どう活かす?
――英国がこれまでに手掛けた「トーネード」戦闘攻撃機や「タイフーン(ユーロファイター)」戦闘機の開発経験は、何が活用できますか?
英国が過去の国際共同開発で学んだことは、もちろんGCAPに活かしています。その1つとして、今回のGCAPプロジェクトで、共同開発への協業を管理する国際機関「GIGO(ジャイゴ)」のような国際機関をつくりました。今後のプロジェクトでは「GIGO」の役割が重要になります。
GCAPの開発は「タイフーン」戦闘機のときとは異なり、政府、企業間が統合された手法を用いています。「タイフーン」は、小さな機関を通して企業に情報が流れていたのに対し、GCAPは大きな機関としてGIGOがあり、そこで統合されています。
ストッカー氏の回答から筆者は、日本が、F-2戦闘機開発の際に米国に振り回された「歴史」を思い出しました。英国も戦闘機の国際共同開発は、必ずしも円滑にいくことばかりではなかったはずです。それだけに、日英伊の3国と企業は、ともに「最初の1歩」となる組織固めへ慎重に臨んでいることが分かりました。
戦闘機の開発は、そのシステムの複雑さ故に長期化し、開発費の高騰も多くの国で起きています。それだけに、GCAPをいかに計画通りに進ませるか、今後も3か国の連携と統制、スケジュールの厳密な管理が欠かせないといえるでしょう。
【了】
Writer: 相良静造(航空ジャーナリスト)
さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。
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