中高年ライダーなぜ「スーパーカブ」にハマる? “自分の娘”見るかのよう「釣り好きにとっての鮒」の意味とは

2024年8月に山梨県北杜市でメディアミックス作品『スーパーカブ』のイベントが開催されました。この作品は、タイトル通り原付の「スーパーカブ」がハナシの中心。そこで、ファンに愛車と作品の魅力について語ってもらいました。

「バイクはカブに始まりカブに終わる」

 最後に、「乗りものニュース」でもお馴染みの軍事ライター・イラストレーターの吉川和篤さんが愛車のスーパーカブ50で参加していたので、「なぜ中年男性がこの作品にハマるのか」について聞いてみました。彼自身、アニメ『スーパーカブ』の視聴をきっかけにカブを購入し、以来、休日になると北杜市をはじめ各地をツーリングして楽しんでいるそうです。

「アニメにしても小説にしても大人の鑑賞に耐えられる作品であることは当然として、ファンに中高年男性が多いのは、ひとつには同じ趣味を持つ自分の娘を見るような感覚で、女子高生がバイクを通じて成長する姿を見ることによる“癒やし”です。そして、もうひとつが主人公の小熊が大藪春彦作品を思わせるハードボイルドなパーソナリティの持ち主である点でしょうね。両親がなく、趣味がなく、友達のいなかった小熊は自立した性格の持ち主で、世の中が甘くはないことを10代にして熟知しています。だから、困難を自分の力で解決しようとする。そうした主人公の姿勢が、人生の酸いも甘いも知り、スーパーカブというバイクを愛する中高年男に刺さるのだと思います」(吉川さん)

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会場に100台近く集まったバイクの多くがスーパーカブシリーズだった。新潟から参加のしんぺいさんのように遠方から自走できた人も少なからずいた(山崎 龍撮影)。

 バイク好きのあいだには、釣り好きの鮒(フナ)になぞらえて「バイクはカブに始まりカブに終わる」という言葉があります。このバイクはスピードこそたいして出ませんが、実用性や経済性が極めて優秀で、これほど乗るのに敷居が低い二輪車もないでしょう。

 つまりは究極の生活密着型バイクと言えます。それゆえに他のバイクにはない奥深さがあります。カブの良さはスピードに対する憧れが消え、無理なくのんびりと乗れること。その楽しさが、中高年になるとしみじみわかるようになります。

 そうしたカブの魅力と、オーナーにとってはよくある身近なエピソードを盛り込んだことで、『スーパーカブ』という作品は人気が出たのでしょう。イベント会場でファンの声を聴くことで、実車と作品双方の良さを改めて実感できました。

【了】

【楽しみ方は人それぞれ】これが再限度100%の「スーパーカブ」です(写真)

Writer:

「自動車やクルマを中心にした乗り物系ライター。愛車は1967年型アルファロメオ1300GTジュニア、2010年型フィアット500PINK!、モト・グッツィV11スポーツ、ヤマハ・グランドマジェスティ250、スズキGN125H、ホンダ・スーパーカブ110「天気の子」。著書は「萌えだらけの車選び」「最強! 連合艦隊オールスターズ」「『世界の銃』完全読本」ほか」に

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