消えた74式戦車「残るかも!?」 退役した装備品「取っときます」明記の意義 日本は遅すぎた?

モスボール品の需要が爆上がりするロシア・ウクライナ戦争

 ロシア・ウクライナ戦争ではモスボールの重要性が示されました。戦争では兵器の需要が供給を上回るのが常です。そのギャップを少しでも埋めるのがモスボールです。欧州全体では退役した兵器が多くモスボールされていたことが明らかになりました。

 例えばドローン迎撃で脚光を浴びているゲパルト対空戦車は、ドイツ本国では2010(平成22)年に退役していています。すでに退役から12年も経過していますが、ドイツは50両も供与しました。クラウス=マッファイ・ヴェクマン社がずっとモスボールしていたのです。

 さらに74式戦車と同じ世代であるレオパルト1は、2003(平成15)年にはドイツ陸軍から退役していました。しかしウクライナ支援で提供されることになり、各国のモスボールからかき集められた結果、中古車価格が暴騰して国際問題にもなりかけています。

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ギリシャのストックヤードに保管されるレオパルト1A5(画像:ギリシャ国防省)。

 レオパルト1のような第2世代戦車では、ロシアのT-80など第3世代には抗しようもありませんが、ウクライナ戦争では戦車同士の戦闘はほとんど起こっておらず、歩兵支援などで活用されています。歩兵援護のためなら歩兵戦闘車よりもずっと強力ですし、複雑なデジタル機器満載の第3世代戦車よりも扱いやすく、即戦力になるのです。

 両軍とも戦車戦力の消耗は激しく、ほとんど見向きもされていなかった中古の第2世代戦車需要が爆上がりして、今や品薄になるという皮肉です。ロシアでもモスボールされていた第2世代のT-62が引っ張り出され、1950年代に登場したT-55までモスボールされていたのは驚きでさえあります。

え、残るの!? これがモスボールされる自衛隊の装備品です(写真)

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