フル規格の新幹線車両が在来線を走る!? 「函館駅乗り入れ」実現なるか “ミニ新幹線”がダメなワケ
運行形態はどうなる?
市は、車両をフル規格とする理由について、ミニ新幹線よりも輸送力が大きく、北海道新幹線の既存駅のホームドアもフル規格であることをあげています。車両の長さが異なるミニ新幹線が新たに乗り入れた場合は、ホームドアを改修する対応が必要になるとしています。
また、以前に公表された報告書では、新函館北斗駅で分割・併合を行って札幌・東京の両方面から乗り入れる案も示されていました。このケースは輸送力が低下し、分割・併合に時間を要する課題があるため、札幌・東京の両方面から単独での乗り入れを基本に検討していく方針が示されました。この場合、札幌~函館間で8本、東京~函館間で5本の運行が見込まれています。
構想が実現した場合、東京~函館間の列車は、新函館北斗駅でスイッチバックして函館駅へ向かうことになります。ミニ新幹線では、秋田新幹線の大曲駅で列車の進行方向が変わりますが、フル規格の車両でもスイッチバック運行が実現することになります。
なお、調査業務を委託されたコンサル会社も、企画提案の時点で「新函館北斗~函館間には、新幹線の断面に障害となるトンネルが存在しないため、乗り入れ車両はミニ新幹線車両ではなく、通常のフル規格新幹線車両の導入可能性が高い」と指摘していました。
フル規格車両を函館駅まで直通させる場合、新函館北斗~函館間の線路は、軌間が異なる新幹線と在来線車両の双方が走れる「三線軌条」に改修する必要があります。また、新幹線と在来線で電圧も異なるため、複電圧車両を新造するか、地上側の設備を昇圧する必要も出てきます。
市は今後のスケジュールや事業費について、関係機関と打ち合わせた上で精査し、判断する方針。新幹線の函館駅乗り入れによって追加で発生する車両調達費は、JR北海道に求めない方向で検討を進めるとしています。
【了】
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