つなげて欲しい! 東京郊外「ビミョ~な乗換駅」毎日ゾロゾロ大移動 うまくつないだ例も

「つなげろよ」実現した駅、しなかった駅、しそうにない駅

 微妙に離れた駅どうしが“うまくつながった”例もあります。

京王八王子駅(京王線)-八王子駅(JR中央線/横浜線)

 多摩地区最大の都市、八王子市の中心部には、東西を横切るJR中央線に「八王子駅」が、そして南からは京王線がそのJR線を横切り、八王子駅の北東の「京王八王子駅」を終点としています。

 両駅間は400mほどと、徒歩で乗り換えるには微妙な距離です。また京王八王子駅は地下駅で、八王子駅から北には地下自由通路が延びていますが、双方の地下はつながっていません。

 ただJR、京王とも西の高尾、東の新宿と自社路線で連絡しており、JR横浜線と京王線の乗り換え需要も橋本駅でカバーできることから、この両駅の乗り換え需要はそれほど大きくなく、川越で見られるような不便さはないと考えていいでしょう。

 ちなみに過去には八王子駅のすぐ北に京王線が乗り入れるという計画もありましたが、その後、消滅しています。もしこれが実現していれば、八王子の街並みは大きく変わっていたかもしれません。

京成船橋駅(京成本線)-船橋駅(JR総武線/東武アーバンパークライン)

 かつては不便だった駅同士の徒歩移動が、一転して便利になったのが、この「京成船橋駅」と「船橋駅」との関係です。両駅の間は100mほど、並行して走る京成本線とJR総武線との乗り換え需要のほか、北から延びてくる東武アーバンパークラインとの乗り換え需要もあり、地上の歩道を歩くにはやや面倒な距離でした。

 しかしこの地域の再開発(船橋駅南口市街地再開発事業)により、船橋フェイスビルが2003年に完成。ビルの中を通っての乗り換えが可能となっただけでなく、ショッピングエリアや行政サービスの窓口も設置されたことで、「便利な乗り換えルート」へと変貌したのです。“駅が離れていること”を逆手に取った成功例と言えるでしょう。

京成津田沼駅(京成本線/新京成線)-津田沼駅(JR総武線)

 船橋と同じく京成とJRとの関係ですが、ちょっとイマイチなのがこちら、「京成津田沼駅」と「津田沼駅」です。

 津田沼駅は、すぐ目の前の新京成線「新津田沼駅」と一体となって、このエリアの繁華街の中心を形成しています。しかし「京成津田沼駅」はその南東、津田沼駅からの徒歩ルートでは約1km離れており、歩くにはちょっと……という距離です。

 新津田沼駅から京成津田沼駅のあいだも新京成線が走っていますが、運賃は通しではなく一部の利用区間を対象に「乗継割引運賃」が適用されるだけなので、割高感が否めません。

 なお京成は新京成を2025年4月に吸収合併することを発表していますが、運賃体系は据え置きとなる見込みです。

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JR津田沼駅と新津田沼駅(奥)の間は繁華街が形成されている(画像:PIXTA)。

※ ※ ※

 以上、東京郊外の“微妙な乗り換え駅”の関係をご案内しました。いったん定まった駅同士の関係、街の形に力を加えるのは大きな苦労が伴いますが、将来に向けて、より利用しやすい形に変わっていってほしいものだと思います。

【了】

【毎日が大移動!?】「ものすごくビミョーな乗り換え駅」の風景(写真)

Writer: 植村祐介(ライター&プランナー)

1966年、福岡県生まれ。自動車専門誌編集部勤務を経て独立。クルマ、PC、マリン&ウインタースポーツ、国内外の旅行など多彩な趣味を通し積み重ねた経験と人脈、知的探究心がセールスポイント。カーライフ系、ニュース&エンタメ系、インタビュー記事執筆のほか、主にIT&通信分野でのB2Bウェブサイトの企画立案、制作、原稿執筆なども手がける。

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