「オカンのバイク」が達成した恐るべき“世界初の偉業”とは? ホンダ“伝説の実用バイク”シャリイを今こそ称えたい!
排ガス規制に適合せず27年間の役目を終えた
1990年代に入ってからの「シャリイ」は、販売台数減少しながらも生産され続け、1993年にはニューモデル「シャリィ(A-CF50)」をリリース。従来からの実用性をキープさせながら、バスケット、スタンドといった細部を見直し、さらなる実用性を高めました。
そして1990年代の中盤以降、ホンダの意図せぬところで「シャリイ」の評価が高まりました。それは「シャリイ」のカスタムです。
1990年代中盤までの日本のバイクシーンは、メーカーが発表したバイクを、セオリー通りにカスタムするのが通例でしたが、いまではカスタムミニバイクのベース車の代表格といえる「スーパーカブ」でさえも、当時は「配達バイク」であり、カスタムの対象になるケースは極めて稀でした。
しかし、1990年代中盤以降は実用車やミニバイクなどを自由にカスタムするショップが続出。結果的に個体数の多い「シャリイ」もカスタムベースとしての白羽の矢が刺さり、ネット検索すれば無数のローダウン、チョッパーモデルなどもはや「シャリイ」の原型をとどめないカスタム例がヒットします。
シンプルな実用ファミリーバイク「シャリイ」は1999年の生産終了後も、意外なところで愛され続け、今日に至ります。現在の環境問題と、2025年に施行される「原付廃止」の動きに加え、実際のニーズを合わせて考えれば、かつての「シャリイ」の再生産はまずないでしょうが、筆者個人的には電動バイクとしての「シャリイ」復活はあっても良いように思います。
27年にわたって愛された隠れた実用車「シャリイ」。派手ではないものホンダが誇る小さな名車の一つです。どうか時代にあったカタチで復活を遂げてほしいなと思います。
【了】
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。
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