日本最速の“無人運転”列車に乗ってみた 速い・静か・眺めイイ!! もともと開発は航空会社!?

国内での磁気浮上式鉄道は、愛知高速交通の通称「リニモ」だけです。しかも無人運転としては国内最速となる100km/hで走行します。どのような乗りものなのか、体験してきました。

リニア=磁気浮上式鉄道を航空会社が開発

 鉄道を高速化するため、レールと車輪の組み合わせを別の何かに変えるというアイデアは、19世紀にはもう見られました。例えば「気球により車体を浮遊させ、空中に設置された軌道を走行する」とか、「水流で車両を浮遊させて動かす」などです。これらは実用化できませんでしたが、「超高速で車輪が蛇行する問題を、車体浮遊で解決できる」という考えは、第二次世界大戦後に各国で研究されるようになります。

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愛知高速交通東部丘陵線(リニモ)の100形車両(2024年9月、安藤昌季撮影)。

 ホバークラフトのような空気浮遊と、磁石による磁気浮遊が検討され、前者は普及しませんでしたが、後者は有力と見なされます。日本でも国鉄が1963(昭和38)年から研究を開始。1972(昭和47)年に試験車ML100による試験走行を行います。

 一方、日本航空(JAL)が1974(昭和49)年、都心から60km以上離れている成田空港(当時は新東京国際空港)までのアクセスを自社技術で開拓するために、西ドイツで開発が進んでいた磁気浮上式鉄道と航空技術を組み合わせた「HSST」を開発。1985(昭和60)年のつくば万博を皮切りに、各地でデモ走行を開始しました。

 筆者(安藤昌季:乗りものライター)はリニアモーターカーに乗りたい一心でつくばまで向かいましたが、騒音・振動が極めて少ない静かな乗り心地に「未来の乗りもの」を実感したものです。

 HSSTは浮遊式なので、タイヤやブレーキシューの消耗がなく、また変速機も不要で、さらに車輪の抵抗や減速機でのエネルギー損失もないため、ランニングコストを抑えられるという特徴を有していました。その後、横浜博覧会のアクセス鉄道として期間限定で営業運転を行い、実用化への問題点は解消されたとして、千歳空港アクセス鉄道などへの導入が検討されますが、JRとの競合などで建設には至りませんでした。

【写真】無人運転! リニモの車内を見る

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