西武は「赤プリ跡地」をなぜ売らなければならなかったのか 岐路に立つ「鉄道会社のビジネスモデル」

西武ホールディングスが保有する物件で最大規模の旧「赤坂プリンスホテル」跡地を再開発した複合施設を売却します。一等地の不動産を保有する鉄道会社のビジネスモデルが転換する、その象徴的事例となりそうです。

西武“虎の子資産”の売却 純利益は過去最高に

 私鉄大手の西武鉄道を抱える西武ホールディングス(HD)は2024年12月12日、「赤プリ」の愛称で親しまれた旧「赤坂プリンスホテル」跡地に立つ東京都心部の大型複合施設「東京ガーデンテラス紀尾井町」を、アメリカの投資会社ブラックストーンが運営する不動産ファンドに売却すると発表しました。売却額は約4000億円です。

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紀尾井町にある西武HD最大の不動産の流動化は、鉄道にも影響を及ぼすのか。写真は40000系(大塚圭一郎撮影)。

 一等地の不動産を保有して賃貸料を稼ぎ出す、鉄道会社のビジネスモデルを脱したと言えそうです。そのような決断に至ったのはなぜでしょうか。

 2016年に開業した東京ガーデンテラス紀尾井町は、西武グループの高級ホテル「ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町」やオフィス、商業施設などが入居する36階建ての超高層ビル「紀尾井タワー」を中核に、賃貸住宅計135戸が入った21階建ての「紀尾井レジデンス」、東京都指定有形文化財にも指定された1930年建設の旧李王家東京邸の洋館「赤坂プリンス クラシックハウス」があります。

 売却は2025年2月末の完了予定で、西武HDは売却額から帳簿価格(約1396億円)を差し引いた約2604億円を売却益として計上。2025年3月期連結決算を上方修正し、最終的なもうけを示す純利益は2660億円(前期は269億円)と過去最高になる見通しです。西武グループは売却後も施設の運営・管理は続けます。

 西武HDが2024年5月に公表した「西武グループ長期戦略2035」は、成長戦略の中核に不動産事業を位置付け、「資本効率性を追求し、保有前提のビジネスモデルからキャピタルリサイクル(物件の流動化とその資金を活用した再投資の継続)と両輪で成長させるビジネスモデルへ転換」と明記。その象徴が東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化です。

 鉄道会社は主要駅周辺といった一等地にオフィスビルなどの不動産を保有して賃貸料を稼ぎ出すとともに、オフィスへの通勤客を運んで鉄道や路線バスの運輸収入も得るビジネスモデルを確立しました。

 これに対し、西武HDは保有する不動産を流動化し、得た資金を別の不動産開発などの再投資に回す「回転型」へ軸足を移す方針です。

【「赤プリ」実はまだある!?】いま「赤坂プリンス」を名乗る建物(写真)

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