「戦闘機界のシビック」F-16が選ばれなくなってきた根本理由
ウクライナでも重宝されるF-16戦闘機。1970年代以降の戦闘機では群を抜く人気モデルとして現在も生産が続いていますが、最近は商戦で敗北を喫しています。なぜ他の戦闘機が選ばれるケースが増えているのでしょうか。
見積りみて「驚愕!!」が目に浮かぶ
エジプトとタイがF-16Vを選ばなかった理由は複合的なものですが、高すぎる価格も、F-16Vに不利に働いたのではないかと筆者(竹内 修:軍ジャーナリスト)は思います。
エジプトとタイがF-16A/Bを導入した当時、F-16は1機1500万ドル程度で購入できる、比較的安価な戦闘機でした。
しかしF-16Vは高性能なレーダーや電子機器などを搭載した結果、価格が上昇しており、エジプトがF-16Vの導入交渉を進めていたころの1機あたりの価格は、6000万ドルを超えていたとの報道もあります。
F-16Vの価格上昇は、物価や為替レートの変動なども考慮する必要がありますし、F-16V自体の能力も向上していますので、F-16A/Bの価格と比較すること自体、ナンセンスなのは確かですが……長年乗りなれたフォルクスワーゲンやホンダ「シビック」などの大衆車の買い替えに、同じ名前の新型車の見積りをもらったら、高級車並みの価格になっていて購入に二の足を踏んだ――エジプトとタイもそうした状況に出くわしたのではないでしょうか。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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