「中央線グリーン車」はどれだけ“稼げる”のか 特急すらお役御免も問題なし? 驚きの投資効果を試算
JR中央線快速と青梅線では、ダイヤ改正をもってグリーン車のサービスが始まる一方、特急「はちおうじ」「おうめ」が廃止されます。グリーン車導入にかかる巨額の投資で、輸送力と収益はどのくらい確保できるでしょうか。
「はちおうじ」「おうめ」vsグリーン車
「はちおうじ」「おうめ」では、特急形電車のE353系が使用され、「はちおうじ」は12両編成で、「おうめ」は9両編成で運転されています。定員は、9両編成で524人(グリーン席を含む)です。12両編成では、150人増えて674人になります。
一方、中央線快速のグリーン車の定員は先述の通り1両あたり90人で、1編成あたりでは180人です。E353系の定員をグリーン車の定員で割れば、「はちおうじ」や「おうめ」の廃止分をまかなうために、グリーン車を連結した中央線快速を何本設定すれば良いかが分かります。
「はちおうじ」の定員674人÷中央線快速グリーン車の定員180人=約3.74本
「おうめ」の定員524人÷中央線快速グリーン車の定員180人=約2.9本
つまり、「はちおうじ」(12両編成)なら4本分、「おうめ」(9両編成)なら3本分で代替できる計算です。
※ ※ ※
中央線快速では、平日朝の上りで1時間に28本の列車が運転されているほか、夕方のラッシュでは下りで1時間に20本の列車が運転されています。それならば、朝と夕・夜で3~5本の「はちおうじ」「おうめ」を廃止しても、十分対応できるのかもしれません。
Writer: 柴田東吾(鉄道趣味ライター)
1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。
コメント