「延期します」 高速道路の「新たな深夜割引」システム追い付かず “強行するとマズイ”理由とは? 不確実で不安な新料金制度

高速道路の新たな深夜割引への移行が、2025年7月頃に延期されました。理由は「データ処理」の準備が追い付かないこと。大容量のデータ通信を前提とした“不確実な割引”への移行は、何が便利で、何が課題になっていくのでしょうか。

「走ったぶんだけ割引」にもならない不確実さ

 利用車の走行スピードを把握することは、もう一つの課題である労働環境の改善にもつながると、高速道路会社は考えました。

Large 20250103 01

拡大画像

左からNEXCO西日本 永田順宏取締役常務執行役員、NEXCO中日本 中井俊雄取締役常務執行役員、NEXCO東日本 田仲博幸取締役常務執行役員(中島みなみ撮影)。

 職業ドライバーの連続運転時間は4時間以内です。現行の深夜割引はいちど割引時間帯に乗り入れてしまえば対象時間帯を気にする必要はありませんが、次からは対象時間帯だけしか割引対象にはなりません。そのため次の“上限”を設けています。

 まず対象時間が7時間(22時~翌5時)に広がるため、連続運転の上限を超えて運転することの防止策として、4時間30分以上の走行では30分間を休憩時間とみなし、割引対象から外すことにしました。

 さらに、車種別の法定速度を考慮し、1時間あたり大型車以上の貨物車は90km、それ以外の車両は105kmという割引上限距離を設定し、過重運転の防止に配慮しました。

 利用車からすれば、最高時速が120km/hに設定された区間でも割引上限距離が同一に設定されていることには違和感を覚えますが、計算処理のための変数をできるだけ少なくする、という配慮だったのかもしれません。

 走行環境に左右される新しい深夜割引制度は、そのため従来のように割引額が即時に決済されません。いったん正規料金で支払った後、クレジットカードなどの請求日に合わせて割引額を還元する形です。12月25日の発表では、あわせて深夜割引額のシミュレーションサイトも公表されました。

 深夜に走る場合は、走行前に割引額を確認しておくことが必要になってきます。

※一部修正しました(1/6 11:12)

【システム追い付かない】これが「延期」の理由です(画像)

Writer:

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

最新記事

コメント

3件のコメント

  1. そんなでは混雑しててもパーキングには空きが出ます。何もわからない国土交通省が作った430と9時間休憩で混雑してます。荷下ろし場所に行ったところで待機場所も無く高速を降りれば止めるところはありません。それなら荷下ろし場所に近いPAやSAで9時間休憩をして荷下ろし場所に門が開く時間や受付時間に合わせて行く方が効率良いからです。0時でインターおりてるトラックはほぼ雑貨便でしょ!

  2. 所詮はデスクワークで現場を知らない人が考える事ですね。全く、何もわかっちゃいない。

  3. システムが追いつかないのではなく仕様をきめられず、発注時に未決定のまま入札させて仕様確定に6ヶ月かかって評価も十分にできない状態で突っ走っているのが現状です