「世界一死亡事故が少ない都市トーキョー」目標達成が危うい “死者ばかり”増える全国ワースト深刻な理由

2024年の死亡事故は全国では減少する中、東京都内では上昇に転じています。都は「世界主要大都市の中で最も少ないレベルの交通事故死者数」を目標に掲げていましたが、日本一死亡事故が多い都市になりました。目標達成が危ぶまれています。

2024年は事故死者「2ケタ増」東京都

 警視庁は2025年1月6日、東京都内で発生した2024年中の交通事故死者数を発表しました。発生から24時間以内に亡くなった事故死者数は、前年より10人多い146人でした。前年比で2ケタの増加がみられたのは2020年以来のことです。

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都内の死亡事故が増加。特に四輪車乗車中事故が急増している(中島みなみ撮影)。

 一方、負傷者数は3万3124人(概数)で、前年より5.3%減少しました。人身事故件数が減っている中で、死亡事故が増えている現状は、見方を変えると被害状況が深刻になっているとも言えます。

 全国の2024年の死者数は前年より15人減って2663人でした。東京は1都だけで10人増えて、全国ワーストになりました。

 交通事故死者が年間100人を超えるのは、全国で8都道府県(2024年)でした。さらに前年比較で年間10人を超える事故死者数の増加がみられるのも東京を含めて10都県(2024年12月26日現在)だけです。

 死亡事故を事故発生時の状態別でみると、2024年の東京の死亡事故は、四輪車乗車中と歩行中の事故が被害を大きくしていました。状態別の死者数は次の通りです。

・歩行者:62人(+7人)

・原付を含むバイク:38人(△6人)

・自転車:25人(△7人)

・四輪車:21人(+16人)

 四輪車では事故被害を低減する装置の搭載により死者数の減少が続いている中で、東京都の2024年中の死亡事故では、四輪車乗車中の事故死者が急増しています。また、歩行者の死者は主に四輪車による被害で、警視庁交通総務課は歩行者が巻き込まれる傾向を次のように話しています。

「歩行中死者は、年齢層では高齢者が多く、事故の様態では横断歩道横断中の事故が多くなっています」

 ただ、歩行者自身の不注意による事故についても指摘します。

「飲酒した歩行者が信号無視や横断禁止場所の横断中に車両へ衝突し死亡した事故や、路上に寝込んで車両にひかれ死亡した事故も発生しました」

 東京都の例年の交通死亡事故の傾向は、全体では歩行者に次いでバイク乗車中の死亡事故が多いのが特徴です。自転車ではないのです。これまでは年齢の高いライダーの事故が指摘されていましたが、新たな課題も浮上しました。

「二輪車乗車中死者の年代別では20代が12人、50代が8人で多く、通勤中の事故の割合が約5割で高くなっています」

【なぜ…!?】これが「20代の死者が急増している」実態です(画像)

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