自衛隊ついに「トップガン」の世界へ!? 初の“艦載戦闘機”が誕生 フネで整備まで本当にできるのか、メーカーに聞いた
ついに海上自衛隊の護衛艦「かが」でステルス戦闘機F-35Bの運用試験が完了しました。今後、航空自衛隊において運用されるF-35Bに関して、気になるのは艦上運用の際の整備性です。これについて、製造企業に聞いてみました。
製造企業イチオシのポイントとは
同社によると、F-35は維持整備性、支援性、および稼働率の向上を念頭に置いて設計されており、とくに部品交換や日常的な整備を容易にするべく、さまざまな工夫が施されているといいます。
「稼働拠点で迅速に交換可能な部品の95%は、他の部品を取り外すことなく整備が可能です。また、前方に開くヒンジ式キャノピーにより、限られたスペースでの射出座席の整備が容易であることも実証されています。さらに、簡素化された油圧システムや、支援が容易なステルス技術が、特に小型艦艇での整備作業の効率化に寄与しています」
さらに、F-35は飛行データなどから消耗が予想される部品を特定し、その交換時期や場所を自動で予測する自己管理システムを搭載しています。そのため、ロッキード・マーチン社によれば、どの場所にどの部品をいつ配送すればよいかという補給計画を事前に立てることができ、必要な部品を必要な場所に迅速に届けることを可能にしているといいます。
これまで、この一連の兵站の仕組みを管理していたのは「自律型兵站情報システム(ALIS)」と呼ばれるものでしたが、現在ではその後継システムである「運用データ統合ネットワーク(ODIN)」の運用が開始され、今後徐々に移行が進む予定です。
こうした取り組みの結果として、F-35は整備面や運用面でも優れた成果を発揮しているとロッキード・マーチン社は説明します。
「飛行時間あたりの整備作業時間は、F-35による置き換えられる旧式の艦載戦闘機よりも少なく、軍隊による柔軟な人的資源の運用を可能にしています。さらに、F-35の部品の90%以上が設計基準を上回る性能を発揮しており、実際の運用から得られたフィードバックによっても裏付けられているように、F-35は自信を持って洋上の艦艇などへと展開できることが証明されています」
今後、航空自衛隊と海上自衛隊がどのような形でF-35Bを運用していくにせよ、F-35Bのこのような利点が最大限に活かされることとなりそうです。
Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)
軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。
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