「売れるわけない」 ビッグなアメリカで小さな「スーパーカブ」がなぜ大ヒット? “世界のホンダ”はこうして誕生した
スーパーカブで日本を席捲したホンダが、海外へ初進出したのがアメリカです。何もかも大きいアメリカで、最も小さいモデルだったスーパーカブが大ヒットしたのはなぜでしょうか。日本の原付の発展は、その成功あってこそかもしれません。
「バイクの面白さ」をアメリカ人に知らしめたカブ
前後しますが、これだけのヒットをもたらしたことを受け、よりアメリカ人にウケるよう改善したモデル・ホンダスーパーカブ(CA-100)を1962年にリリース。ボディを真っ赤にし、ダブルシートを搭載しました。
そして、従来のバイクショップだけでなく、釣具店やスポーツショップでも取り扱いが始まるようになった1963年以降はハンター仕様モデル、フィッシング仕様モデルなどもリリース。この試みは後のモンキー、ダックス、ハンターカブなどのレジャーバイクの開拓にも繋がっていきました。
日本での50ccモデルのスーパーカブは、発売以来今日に至るまで「実用車」としての存在価値が大きかったですが、アメリカでは、後に日本でもブームを巻き起こすこととなる「レジャーバイク」的な存在として価値を見出していったというわけです。
また、スーパーカブでアメリカ人にその名を知らしめたホンダは、1970年代以降、オン・オフ双方の様々なラインナップをアメリカで販売するようにもなり、今日に至っています。
ひいては、それまで「ハーレーやトライアンフしか知らない」アメリカ人バイクユーザーだけでなくバイクに見向きもしなかった人たちをも、「50ccの小さなバイク」スーパーカブが「バイクの楽しさ」に気づかせたと言って良いでしょう。
こんなアメリカにおけるスーパーカブの伝説を知ると、余計に2025年での50ccモデル生産終了が実に残念であり、同時にバイクの長い歴史において「50ccモデルのスーパーカブが姿を消す2025年は、時代の変わり目になる場面なのだ」とも実感します。また、アメリカ人のバイクユーザーにとって、この一時代の終わりをどんな風に感じるかもとても気になるところです。
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。
1990年台出向でタイに住んでいました。カブは110ccでしたよ。
他の国も110がメインで、世界中で売れまくっていたカブはこれでは?