高架化事業で品川駅を「地上化」 フシギな立体交差事業を俯瞰 そばで橋を組み立ててる!

京急は泉岳寺~新馬場間で連続立体交差事業工事を進めており、JR品川駅の大規模再開発とあわせて、京急品川駅は地上化されます。立体交差事業なのに「地上化」とは、どういうことでしょうか。

JR東日本とタッグを組み駅前を再開発

 連続立体交差事業の線路構造案は、

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京急品川駅の地上化後、2階部分は人工地盤が張り巡らされ、写真手前で工事中の品川西口地区へとドッキングして大きな空中回廊が誕生する(2024年12月13日、吉永陽一撮影)。

1:北品川駅と品川駅の地下化

2:北品川駅と品川駅の高架化

3:北品川駅を高架化して品川駅を地上化

 の3案が検討されました。このなかで、品川駅の北側にトンネル、南側に八ツ山橋がある地理的条件、さらに北品川~新馬場間の距離が短いことなどから、3が採用されたのです。

 駅が地上化されるのには、もうひとつ大きな理由があります。JR品川駅では北側へ人工地盤を延長して、改札口と商業施設を拡大します。京急は、高架駅構造と国道15号によって歩行者の動線が分断されている現状を根本的に変えるべく、駅を地上化して2階部分を歩行者スペースにすることで、フラットに移動できる東西自由通路を整備し、歩行者の回遊性を向上させます。

 さらに京急とJR東日本は、品川駅高輪口を再整備する「品川駅街区地区」開発計画を発表し、京急の地上ホーム直上に高層ビルと商業施設を建設します。あわせて国道15号の直上にも人工地盤を構築し、国際ビジネス交流を担う複合施設として、旧パシフィックホテル跡地を再開発中の品川駅西口地区へと接続します。

見納めとなる緑色の古い八ツ山橋

 JR品川駅の南側では、山手線留置線だった場所に複線幅のトラス橋が鎮座していました。トラス橋には平らな鋼鉄の板が接続されており、その下には仮設構体の桁が敷かれています。

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JR山手線の留置線があった場所は新しい八ツ山橋の建設現場となっている。この地中には日本初の鉄道の遺構が眠っており、作業前に試掘調査が行われた(2024年12月13日、吉永陽一撮影)。

 これは新たな八ツ山橋となるトラス橋ですが、八ツ山橋本体ではなく「前方仮設トラス」と呼ばれるものです。JRの線路があって仮受けの橋脚が設置できず、橋梁工事は「送り出し工法」が採用され、片方の端から橋梁を送り出して取り付けます。「前方仮設トラス」が送り出すガイドとなって、後ろに八ツ山橋のトラス橋が接続されます。新しい八ツ山橋が架橋すれば、1933年製の緑色の八ツ山橋は撤去されます。

 京急品川駅でいま最も変化しているのは駅北側です。下り本線の隣に、引上げ線と下り本線仮設高架橋が姿を現していました。今後、線路3線分が東側へ移動します。

 引き上げ線の工事箇所では都道環状4号線の跨線橋工事も行われており、周辺ビルの解体も進行中です。その先にある「TAKANAWA GATEWAY CITY」は2025年のまちびらきを控え、建設の最終段階へ来ています。なお、京急の工事は2029年度の完成を予定しています。

【空から見ると…】大改造される品川駅の様子(写真)

Writer:

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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