ついに初納入!海自「空前の巨大戦闘艦」のための“新型レーダー”どれだけスゴイ? アメリカの製造現場に初潜入してきた!

アメリカの大手防衛関連企業であるロッキード・マーチン社は2025年1月16日、海上自衛隊用の最新鋭艦載レーダー「SPY-7(V)1」のアンテナ第1面が、防衛省に納入されたと発表しました。じつは、筆者は昨年このレーダーの製造施設を視察していました。

ついに納入された最新鋭レーダー

 アメリカの大手防衛関連企業であるロッキード・マーチン社は2025年1月16日、海上自衛隊で運用予定である「イージス・システム搭載艦(ASEV)」用の艦載レーダー「SPY-7(V)1」のレーダーアンテナ第1面が、防衛省に納入されたと発表しました。

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イージス・システム搭載艦の完成イメージ(画像:ロッキード・マーチン) 。

 SPY-7は、同社が製造する最新鋭のレーダーです。防衛省はイージス・システム搭載艦を2隻建造するとしており、合計8面のアンテナが納入される予定です。じつは、筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は2024年9月に、このSPY-7を製造しているロッキード・マーチン社の施設を、日本のメディアとしては初めて取材する機会を得ました。

 そもそもSPY-7とは、どのようなレーダーなのでしょうか。 SPY-7は、アメリカ本土に飛来する弾道ミサイルの早期探知および識別を行うために開発された「長距離識別レーダー(LRDR)」で培われた技術をベースに生み出された艦載レーダーです。両者は、いずれも「サブアレイ・スイート」と呼ばれる小さなレーダー装置を組み合わせることで、一つの大きなレーダーを構成します。そのため、SPY-7の場合には、搭載する艦艇のサイズや運用者のニーズに合わせて、そのサイズを自在に変更できます。

 また、レーダーを稼働中でも、背面からサブアレイ・スイートを交換することで故障に対応する「ホットスワップ」が可能であるなど、メンテナンス面でも優れた特徴を有しています。

 現在イージス艦に搭載されているSPY-1Dレーダーと比較して、SPY-7の探知距離は3.3倍、弾道ミサイル防衛(BMD)実施中の捜索範囲は約20倍に向上しているとのこと。SPY-1Dの探知距離は約500km程度とされているため、SPY-7は約1600km先の目標を探知できることになります。

 加えて、SPY-7では水平方向に送信される水平偏波と、垂直方向に送信される垂直偏波を同時に送受信する「二重偏波レーダー技術」を用いており、探知した目標の形状を正確に捉えることができます。これにより、弾道ミサイルの囮(おとり)弾頭と真弾頭を見極めることも可能です。

 さらに、SPY-7はソフトウェアベースのレーダーシステムであるため、ハード(レーダーを物理的に構成する部品)に変更を加えることなく、レーダーを動かしているソフトウェアをアップデートすることにより能力向上を図ることができます。つまり、何か新たな脅威が登場した場合や、新しい機能を実装しようとする場合、ソフトウェアを更新することで迅速に対処することができるというわけです。

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