「日本最東端の駅」廃止しちゃっていいの? 秘境じゃないのに“超閑散駅” 行って分かった「納得の理由」
2025年3月のダイヤ改正で廃止される東根室駅。利用者数が少ないという理由で廃止されますが、はたしてどんな場所なのでしょうか。実際に行ってみると、思いがけない光景が見られました。
「日本最東端の駅」最果て感は…?
東根室は木の板を敷き詰めて作ったプラットホーム1面だけの簡素な駅。日本国有鉄道が出版した「停車場一覧 昭和47年10月14日現在」によれば、東根室は1961年9月から営業を開始しています。根室本線が根室に到達したのが1921年なので、それから40年後の開業となります。
駅のホームから周囲を見渡すと、人跡未踏の地どころか想像以上に住宅地が広がっています。この一帯は根室市のベッドタウンになっており、駅東南へ徒歩約10分の場所には根室市内で最大規模を誇る市営住宅「光洋団地」があります。
根室市内に2校しかない中学校の1つ「光洋中学校」も徒歩約4分の場所にあり、夕方には中学生が東根室の線路下に設けられたトンネルを通って、駅西側に広がる住宅地へと下校する姿も見られました。また、東根室から徒歩約20分のところには市内唯一の根室高校もあります。このように、東根室周辺は生活感があふれる根室の住宅地となっているのです。
市内の別の場所にあった根室高校は1959年に現在地へ移転しました。また、光洋団地は1962年から1977年にかけて計161棟624戸が建設されました。時系列を整理すると、
・1959年 根室高校が移転
・1961年 東根室駅が開業
・1962~1977年 光洋団地が建設
となります。つまり、東根室は根室高校への最寄り駅として開設され、新設されたニュータウンの入口としても期待された側面があったと考えられるのです。
しかし、運行本数が限定されていれば利用されません。東根室駅の開業から3年後、東海道新幹線が開業した1964年の「国鉄監修 交通公社の時刻表10月号(復刻版)」で確認したところ、当時の東根室に発着する列車は根室行きが8時3分と17時48分の2本、釧路行きが6時3分、8時17分、16時29分の3本だけ。現在よりも乗車できる列車は少なく、当時から使いにくい駅だったようです。
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