「日本最東端の駅」廃止しちゃっていいの? 秘境じゃないのに“超閑散駅” 行って分かった「納得の理由」

2025年3月のダイヤ改正で廃止される東根室駅。利用者数が少ないという理由で廃止されますが、はたしてどんな場所なのでしょうか。実際に行ってみると、思いがけない光景が見られました。

鉄道の“ライバル”がいた!

 とはいえ駅がなくなれば、東根室周辺に住む人々にとっては公共交通の利便性を享受できない状態になってしまいます。代替の交通手段は確保されているのでしょうか。

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光洋中学校前停留所に差し掛かる公住循環線のバス。道路はきれいに除雪されている(水野二千翔撮影)

 東根室駅のホームを降り、駅前の坂道を登りきると「光洋町通り」に突き当たります。片側1車線のきれいに舗装された道路で、自動車の通行も絶えません。左に視線を転じれば、そこに地元のバス会社・根室交通が運行する公住循環線の「光洋中学校前停留所」が設置されています。

 同線は東根室駅から500mほど離れた公住入口停留所を起終点に、根室駅に併設された駅前ターミナルや市立病院、市役所といった根室市の中心地へ向かう循環路線。光洋中学校前停留所では1時間に2回乗車チャンスがあり、駅前ターミナルへ最短20分で行くことができます。2、3時間に1本しかない列車よりも利便性は抜群に高いと言えます。

 光洋中学校前停留所を14時3分に発車するバスに乗車しました。同便は駅前ターミナル方面とは逆の、終点である公住入口停留所へ向かいます。ものの数分で車窓には光洋団地が現れました。

 同団地は前述の通り1960年代から建設が進められたため老朽化が激しく、2004年度から建て替えが行われました。新装された団地を囲むように光洋町4丁目、公住南、公住東、公住北の各停留所が設置されており、利便性が確保されていることがわかります。同団地をぐるりとひと回りして終点の公住入口停留所に着きました。

 引き続き駅前ターミナル方面へ行きたいと運転手に告げると、循環路線ゆえ、そのまま乗車していてOKとのこと。再び発車し、駅前ターミナルには約20分後、さらに乗り続けて最初に乗車した光洋中学校前停留所には約40分後に戻ってきました。

 その間、公住入口停留所や駅前ターミナル、市内最大の商業施設であるイオン根室店最寄りの弥栄町1丁目停留所などで乗り降りが見受けられ、公住循環線が日常の足として利用されていることがわかりました。

 実際、同線の利用人員は2022年度に年間約11万人(令和5年〈2023年〉根室市統計書)と、根室交通で最も利用者数が多い路線。本来なら東根室を利用できる人の代替交通手段としての役割をすでに担っていると考えられます。

【空中写真】えっ…!? これが「日本最東端の駅」周辺です

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