世界を驚かせた「日の丸民間船舶」何がスゴいのか 戦艦「大和」以降も色々 世界中で引っ張りだこ?
旧日本海軍が大和型戦艦などの画期的な軍艦を生み出したことはよく知られています。同じく民間船でも、世界に驚かれるような船舶を生み出した歴史があります。日本で退役後も、船籍を変え世界中で使われる例すらあるのです。
高速船の座にカーフェリーが登場
オイルショックで貨物船が速力を落とす一方、日本ではカーフェリーが新たな高速船となりました。日本初の長距離カーフェリーは1968(昭和43)年の阪九フェリー「フェリー阪九」(4979総トン)で、最高速力19.2ノット(50km/h)、航海速力18ノット(33.3km/h)でしたが、1974(昭和49)年の日本カーフェリー「高千穂丸」(9536総トン)では最高速力27.4ノット(50.7km/h)、航海速力25.6ノット(47.4km/h)と高速化。当時は日本最速フェリーでした。

そして1992(平成4)年に、マリンエキスプレスが航海速力世界一の「パシフィックエキスプレス」(1万1582総トン)を建造。同船は太めの船型を採用しつつ、最高速力27.7ノット(51.3km/h)、航海速力26.2ノット(48.5km/h)でした。
2003(平成15)年には新日本海フェリーが「はまなす」(1万6810総トン)を就役させます。「はなます」は世界初の推進システムを採用し、最高速力32.04ノット(59.3km/h)、航海速力30.5ノット(56.4km/h)は2025年2月現在でも日本最速です。同社は「すずらん」(1万7400総トン:2012〈平成24〉年)で最大速力29.4ノット(54.4km/h)、航海速力27.5ノット(50.9km/h)を、「はまゆう」(1万5400総トン:2020年)で航海速力28.3ノット(52.4km/h)を記録しています。
なお現役船としては、商船三井さんふらわあの「さんふらわあさっぽろ」(1万3816総トン)や「さんふらわあ かむい」(1万5512総トン)、太平洋フェリーの「きたかみ」(1万3694総トン)がこれに続くもので、いずれも航海速力24ノット(44.4km/h)です。2025年現在の最新フェリーとなる「さんふらわあ かむい」では、斜めの向かい風を推進力にできる「ISHIN船型」などの新技術を採用。二酸化炭素も35%削減するなど、環境にも優しい船となっています。
日本の高速船舶は国内での引退後も需要が高く、世界中で重宝されています。例えば、先述した「パシフィックエキスプレス」は2005(平成17)年の引退後、韓国→パナマ→メキシコ→キプロスと船籍を変え、今なお現役です。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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