所要時間は9時間! 北海道唯一の“夜行だけ”高速バスに乗ってみた 「満席も珍しくない」そのメリットとは?

北海道には、「往復とも夜行便のみ」という路線がただ一つ存在します。今回、北海道の広さを実感できるこの路線に乗車し、どのように利用されているのかをチェックしてみました。

「真っ暗な1本道」をひたすら走る

 定刻20時50分に出発したオーロラ号は、国道44号を西進して最初の停留所がある厚床(あっとこ)駅前へ。この日は乗車がなく、バスは進路を北に取り、国道243号を走ります。

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前扉上部にはLED式行先表示器を設置(水野二千翔撮影)

 客室のカーテンは乗車時にすでに閉じられていましたが、少し開けて外を見てみると、周囲は闇に包まれています。時折うっすらと見える看板から、きっと周囲は牧場が広がっているのだろうと想像することができます。窓からの冷気が肌を刺すものの、カーテンを閉じればシャットアウトされるので、車内は快適な温度が保たれています。

 また、車内は3列シートで、座席の間に通路がある1+1+1列配置となっています。シート同士の間にはカーテンが設置され、プライバイシーを保てるのもうれしいポイントです。

 真っ暗な1本道を行くオーロラ号ですが、遠くに見えた光が徐々に近づき、その中に飛び込む機会が2回ほどあります。それは別海町、中標津町に入るとき。街の灯りにホッとするという心情は、道が煌々と照らされる高速道路を走る夜行バスでは味わえない感覚でした。

「別海町交流館ぷらと」から女性1名が乗車。次の停留所となった「中標津トーヨーグランドホテル」では7人乗車。なかには小学生ぐらいの少年も見られました。この日は筆者を含めて10人が乗車、乗車率は約40%となりましたが、「金曜日は満席になることも珍しくないですよ」と、根室交通の乗務員さんは話します。

 定刻22時40分に中標津を出発すると、「おやすみ放送」が済んで10分ほどで車内は消灯。バスはこのあと国道272号を経由して、本別町で札幌発の便と落ち合い、列車交換ならぬ乗務員“交換”が行われます。

つまり、札幌行きのバスに乗車していた根室交通の乗務員さんが根室行きに乗り換える一方、根室行きの北都交通の乗務員さんは筆者が乗る札幌行きに乗り換えて、それぞれの町へ戻るという運用が行われているのです。

【画像】これが「オーロラ号」の車内と座席です

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コメント

2件のコメント

  1. 札幌から根室へ単身赴任をしている知人は金曜日に札幌へ帰り、日曜日に根室へ戻り時間を有効活用していると話してました。札幌と根室を直行で結ぶ唯一の交通機関として、重要なインフラだと思います。この路線がこれからも続いていくように行政も気にかけて欲しいと思う。

  2. 昔、利用した事が有ります

    道内の他の路線(夜行バス)は札幌↔釧路と札幌↔函館を利用しました

    昔の話で記憶が定かではないですが札幌↔函館は2社の路線が運行していたと思います

    釧路や根室への道中、車窓からの景色が牧場や原生花園等同じような景色が延々と続くので1度経験したら夜行バスで寝ている間に移動するのは経済的だと思います(宿代も浮くし)

    ただし、タイパを大事にする人には向かないのと、快適な睡眠が得られるか?は微妙かと思います