「そのアイデア、鉄道各社で“横展開”します!」異例の12社参画 スタートアップの社会実装が“あっという間”に進みそうな仕組みとは
日本のスタートアップ企業支援を加速するため、鉄道業界がタッグです。東京の5社が連携したイノベーションクラスター「TRIP」へ、さらに4社が参画し、全国規模となりました。各社が新たなサービスの社会実装の“横展開”に意欲を示します。
社会実装の“圧倒的なスピード感!”
鉄道事業者は駅だけでなく、百貨店、ホテルなど、沿線に多くのアセット(資産)を保有しています。TRIPの強味は、サービス展開の場の提供が容易なこと、さらにその“拡散力”といえるでしょう。

TRIPの支援事業のひとつに、ヘアアイロンのレンタルスポットサービス「Re:Cute」があります。2024年に設立された新しい会社ですが、そのサービスは小田急、東急、京王の商業施設に導入され、各社の電車や駅での広告展開もあって、瞬く間に拡がりました。
参加事業者で最も遠い福岡県を拠点とする西日本鉄道の森永 豪さんは、TRIPへの参画を「ほぼ即決した」と振り返ります。
「スタートアップとの連携は福岡でも行っていますが、どうしてもスタートアップの数は東京に集中しています。同じような事業をやっている事業者と出会い、情報交換し、協業の横展開がしやすい」とのこと。ちなみに「Re:Cute」は西鉄でも導入するそうです。
小田急電鉄の和田正輝さんは鉄道業界について、「相互直通運転やSuica・PASMOなどを通じ、企業の壁を越えて動いている唯一の業界」だと話します。
TISの水船さんがスタートアップ支援で鉄道業界に着目したのも、まさにその部分で、「IT業界などはふつう、横並びの会社と仲よくしないのが一般的ですが、鉄道はそれが全くない。ものすごく仲がいい。鉄道の中であればタッグを組んで成長につなげられる」と話します。
さらに、TRIPは鉄道以外の業界にも様々な「支援パートナー」があり、三菱地所、大成建設、清水建設などが名を連ねます。三菱地所は、東京の丸の内をサービスのフィールドとして提供する用意もあるそうです。
TISの水船さんによると、他にも多くの鉄道事業者がTRIPへの参画に意欲を示しているとのこと。その規模はまだまだ拡大しそうです。
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