偽トヨタに偽シビック、偽アウディ…アメリカで“珍車”が増殖中!? 「偽装」余儀なくされるオーナーたち
「TOYOTA」と書かれた一風変わった外観のピックアップトラックや、ガソリン車なのにフロントグリルがないホンダ・シビックなどの“珍車”がアメリカで増殖中。これらは違法なコピー品というわけではなく、その車種に“なりすまして”いるのです。
トップのトランプ政権入りで標的に
アメリカのテスラの所有者らは、なぜこのような“偽装”を迫られているのでしょうか。そのヒントとなるのが、インターネット通販大手アマゾン・ドット・コムで2枚1組7.49ドル(約1120円)にて売られているステッカーです。改造をする代わりに、テスラ車のバンパーなどに貼り付ける目的で販売されています。

ステッカーには「イーロンがイカれていることを知る前に買ってしまったんだ」と記されています。類似の「自衛ステッカー」は他にもあります。
経済誌フォーブスによると世界一の富豪であるテスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)が、多くの国民の怒りを買い、テスラ車にいたずら書きをしたり、放火されたり、タイヤを盗まれたりする被害が多発しているのです。そこで、マスク氏の行為に共鳴しているわけではないと弁明して許しを請う“免罪符”のステッカーが登場しています。
2024年の大統領選挙で当選した共和党候補のドナルド・トランプ氏の陣営に少なくとも2億7400万ドル(1ドル=150円で411億円)を献金し、第2次トランプ政権で新設された「政府効率化省(DOGE)」のトップに就いたマスク氏。約230万人いる連邦政府職員のうち10万人を超える解雇を打ち出し、途上国への人道支援などを手がける国際開発局(USAID)の閉鎖を迫るなどの荒技を進めてきました。
また、トランプ氏の復帰就任初日の2025年1月20日に首都ワシントンで開かれた祝賀集会でマスク氏は、右手を上向きに力強く伸ばすジェスチャーをして「ナチス・ドイツの敬礼をした」などとネット上で物議を醸しました。マスク氏は2月のドイツの連邦議会(下院)選挙では、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の支持を明言しました。
こうした行為が反発を呼び、「ナチス過激主義に反対する学生たち」と称する団体が、テスラ車の所有者に手放さなければ標的にすると警告しました。どの世帯がテスラ車を持っているのかがネット上でさらされたり、ナチスを象徴するかぎ十字のマークをテスラ車に落書きしたり、タイヤが盗まれたりするといった被害も相次いでいると報じられています。カジノで有名な西部ネバダ州ラスベガスにあるテスラのディーラーでは2025年3月、止まっていた車数台が放火される事件も起きています。
SNSには、テスラ車の窓ガラスに「卵を投げつけてやりたいけれども、卵も最近は高額だからね!」と張り紙をした写真も投稿されています。
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