引退したはず!? 「JR初期の特急車」まさかの復活に沸く “ちょっと残念な座席”は争奪戦 今後はどうなる?

JR東日本はゴールデンウィーク期間中の2025年5月、既に定期運用を終えた人気車両を臨時特急で登板。同車は“華麗なる復活”を遂げましたが、実は再登板が待ち受けている可能性があります。

一瞬で埋まった「残念なグリーン車」

 にもかかわらず、なぜ255系は2025年5月に復活したのでしょうか。

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255系のグリーン車の側面表示(大塚圭一郎撮影)

 筆者が複数のJR東日本関係者に話を聴いたところ「特急車両が足りていない」ことが背景にあり、多客期の移動需要に対応するために9両編成の255系を“動員”したそうです。

 運行した列車には予約が殺到してほぼ満席となり、なかでも「真っ先に予約が埋まったのはグリーン車だった」と言います。255系の4号車のグリーン車は「普通席のようなグリーン車」と揶揄されていただけに、意外に受け止める向きもありました。

 255系は普通車の座席こそ肉厚のクッションで、優れた座り心地です。これに対し、グリーン車の座席は普通車と見た目が大差なく、通路を挟んで2席ずつあるのも変わりません。細かく見れば、座席の前後間隔が1160mmと普通車より190mm長く、普通車にはない座席間の肘掛けがあり、立派な足置き「フットレス」も備えている点は優位なものの、普通車の足元にも棒状の「フットレストバー」があります。

 それでも、255系のグリーン車にはユニークな特徴があるだけに、乗っておきたい心理が働くのはよく理解できます。筆者もグリーン車を予約したかったものの、取れずに普通車にしたクチです。

 255系のグリーン車は座席幅を広げる工夫として、座席を回すのに「偏心回転機構」という珍しい仕組みを採用。回転させる時には、座席を通路側に動かしてから回すという変わった操作が求められます。

 また、頭上の荷物棚はふたが付いていないものの、旅客機のそれと似た形状です。ふたがないことにより、天井の照明が発する光が車内に注ぎやすくなっています。

 そして、面白いのはグリーン車の中央部で仕切っているアクリル製のパーティションです。かつてはパーティションを境に禁煙室と喫煙室を分ける「分煙」を採り入れていました。もっとも、通路の部分が空いているため、喫煙室が運用されていた時代に隣接する禁煙室に乗った人は「たばこの煙が入ってくる受動喫煙があった」と証言します。2005年には全車禁煙になりました。

【写真】一瞬で埋まった255系の「ちょっと残念な座席」

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