中国オリジナル戦闘機が史上初の戦果!? ヒマラヤ至近で起きた空中戦 世界の兵器マーケットに影響 “大”な可能性
インドとパキスタンが互いに領有を主張するカシミールで2025年5月上旬、空中戦が起きました。このとき両国が投入したのはフランスと中国の戦闘機です。結果、中国製の戦闘機が初の戦果を挙げました。
格闘戦ではなくミサイルの撃ち合い
交戦はインドとパキスタン、双方とも自国の領域を出ることなく発生した視程外(BVR)戦闘であり、この射程の差は決定的であった可能性があります。特に、電子妨害能力を持つ「ラファール」に対し、PL-15がその妨害を乗り越えて命中したとすれば、それはJ-10CやPL-15の対妨害性能の高度さをも示唆すると言えるでしょう。

インド空軍の「ラファール」に、PL-15を凌駕すると推測される「ミーティア」長射程空対空ミサイルの装備も可能なため、今回の交戦で「ミーティア」が実戦投入されていたなら、結果は違った可能性もあります。
中国は近年、空軍の地位向上と装備の質的転換を国家戦略に据えており、特に長射程空対空ミサイルを主力に置いたBVR戦闘能力の向上を最優先してきました。そのことを鑑みると、J-10CとPL-15の組み合わせは、その結晶であり、このたび能力を実証したと言えます。
今回の交戦が示唆するのは、単に戦闘機が1機撃墜されたことに留まりません。中国が製造した戦闘機とミサイルが、先進国の一線級モデルに対して実戦で成果を挙げたという点です。これまで中国製兵器は「廉価版」や「コピー製」と揶揄されてきましたが、それはもはや過去のハナシです。
仮にJ-10Cが本当に「ラファール」を撃墜したのであれば、それはグローバルな兵器市場においても中国製装備の地位を飛躍的に引き上げることになるでしょう。これまで中国製戦闘機を採用してきた国々、パキスタン、バングラデシュ、ミャンマー、エジプトなどに加え、今後は中東・アフリカ諸国における「ラファール」、F-16、「グリペン」といった西側機だけでなく、Su-35やSu-30などといったロシア機の市場にまで割って入る可能性も現実味を帯びてきます。
今回のインドとパキスタンの空戦の結果は、世界的な戦闘機のシェア争いにも影響を与えるという意味で、軍関係者だけでなく航空機メーカーの担当者にとっても無視できないものになりそうです。
インドのアムバラ空軍基地に着陸する同国空軍の「ラファール」戦闘機(画像:インド空軍)。
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
記事では、「フランスと中国の最新鋭戦闘機同士」としているが、フランスのラファールは初飛行は1986年と約40年前。運用開始も2000年だから25年前。
これを最新鋭と書くのは大袈裟過ぎだろ。中国のミサイルは確かに新しい物だけどね。