護衛艦で運用した「異色の対潜ヘリコプター」自衛隊初の作戦用UAVが姿を消したワケ
海上自衛隊がこのたび艦載用の小型UAV「V-BAT」を選定しました。しかし実は約50年前、海上自衛隊は別の無人航空機を運用していたことがあります。15年ほどで運用を終了した知られざるUAVについて振り返ります。
原型は1人乗り用のマイクロヘリコプター
当時、アメリカのジャイロダイン社は、海軍に対して1人乗りの超小型ヘリコプターのデモンストレーションを行っていました。当時、アメリカ海兵隊はこのような簡易式飛行装置をさまざまな任務に投入しようと考えており、試行錯誤を重ねていたのです。

結局、このような1人乗り超小型ヘリコプターは採用されることなく終わりましたが、海軍はこれを応用した対潜兵器の遠距離投射手段を思いつきます。同機を遠隔操縦式に改造して無人機とし、これに対潜誘導魚雷を搭載すれば、遠距離の敵潜水艦への攻撃手段になると思い付きます。
アメリカ海軍は当時、駆逐艦やフリゲートといった小型艦艇に小さな飛行甲板を設けて有人の小型ヘリコプターを運用しようと実験中で、その小さな飛行甲板は超小型ヘリ改造の無人対潜ドローンの発着用として打ってつけでした。そのうえ無人対潜ドローンが運用できれば、母艦はその他の遠距離対潜兵器を装備しなくてもよいという可能性も出てきます。
しかも、母艦を飛び立って指定の海域に到達したら対潜兵器を投下するだけというシンプルな運用なので、複雑な飛行を遠隔操作する必要がなく、誘導面での問題もさほどありません。
こうして、1人乗りの超小型ヘリコプターをベースにDASHが誕生します。ちなみに、DASHとは「Drone Anti-Submarine Helicopter」の略で、1959年に初飛行しています。
DASHの最高速度は約150km/hで巡航速度は約80km/h、航続距離は約130km、飛行耐久時間は約1時間。胴体下に対潜誘導魚雷2本を搭載することができました。誘導装置は、母艦の飛行甲板とCIC(Combat Information Center)にそれぞれ備えられており、基本的には離着艦を前者、目標への飛行と帰艦の誘導、それに兵装の投射を後者で実施することになっていました。
相変わらず校正が甘い。画像7枚目のキャプション『986年、ニューヨークに入港する海上自衛隊の護衛艦「ながつき」(画像:アメリカ海軍)。』の『986年』は『1986年』の誤り。せっかくの記事が台無し。編集部の猛省を望む。