知られざる改造が満載!「ブルーインパルス」曲技飛行するための工夫 ノーマルT-4との違いは

東京オリンピックに引き続き、パラリンピックの開会日にも都心上空を飛ぶブルーインパルス。その機体には、スモークを出す以外にも様々なアクロバット機ゆえの専用改修が施されています。

ノーマル機より広いラダーの可動範囲

 加えて垂直尾翼の方向舵(ラダー)は、ノーマルのT-4の場合、速度が240ノット(約444.5km/h)以上だと安全対策の面からリミッターが作動し、可動範囲が5度程度に限られるようになっていますが、ブルーインパルス用の機体はこのリミッターが解除できるようになっており、10度程度まで範囲を拡大できます。これはアクロバット飛行時の機動性を高めるための措置で、この解除用ボタンも操縦桿にあるといいます。

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ブルーインパルス仕様のT-4の機首アップ。バードストライク対策として風防前部が強化されており、内側のヘッドアップディスプレイの素材もガラスからアクリルに変更されている(画像:航空自衛隊)。

 ほかにも、風防内側上部に取り付けられたバックミラーは、ノーマルのT-4では中央に1枚のみですが、ブルーインパルス用の機体はさらに左右に1枚ずつ追加し、合計3枚とすることで後方の視認範囲を広げています。

 これらの改修を受けた機体は「戦技研究仕様機」と呼ばれるそう。なお当初は新造でブルーインパルス向けの専用機として11機が製作されましたが、それらは2019年度末までに全機が退役しており、現在使われている機体は従来、ノーマルのT-4として用いられていた機体に所要の改修を施した、いわば中途改造機です。

 もともと、ブルーインパルスは大阪・関西万博の開幕にあわせて4月13日に展示飛行を行う予定でしたが、天候不良のため中止となっていました。その後、愛知県でブルーインパルスが運用するT-4練習機と同じ型の機体が墜落した影響を受け、飛行できない状況が続いていましたが、6月13日以降、順次飛行が再開されたことで、今回の大阪・関西万博での再飛行となっています。

 なお航空自衛隊によると、万博協会から「万博来場目的以外での夢洲駅へのお越しはご遠慮くださいとの連絡を受けています」とのことで、当日の見物は注意が必要です。

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Writer:

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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