陸自の「無人車両」今から“開発”するの!? 迫るタイムリミット 技術的にも“海外製をそのまま導入”がベストなワケ

防衛装備庁が陸自向けの汎用小型UGV(無人車両)の取得方法と、開発を検討するための情報を提供する企業を募集しています。すでに海外製品を試験してデータを取っていますが、そのまま導入しないのでしょうか。

海外製をそのまま使えばいいじゃない…?

「無人アセット防衛能力」を含めた防衛力抜本的強化の重点項目は、前にも述べたように「5年以内」という時間的制限が課せられており、該当する防衛装備品は早期の戦力化が求められています。

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ウクライナの慈善団体に提供された「テーミス」。戦線の支援に導入されている(画像:ミルレム・ロボティクス)

 このため、UGVに関しては参考品としてエストニアのミルレム・ロボティクスが開発した、履帯(キャタピラ)で走行する装軌式の「テーミス」と、ドイツのラインメタルのカナダ法人ラインメタルカナダが開発した、タイヤで走行する装輪式の「ミッションマスターSP」を参考品として購入し、部隊で運用試験を行いながらデータを蓄積しています。そのデータと、今回企業に求めた情報などを基に、最適なUGVを導き出していくという手法が採用されています。

 冒頭に述べたUGVの取得方法に関しては、テーミスとミッションマスターSPの試験結果が良好であれば、そのまま輸入するなりライセンス国産するのが、早期にUGVを戦力化する最も簡単な方法だと思います。

 一方、国内開発という手法を採用した場合、ベースとなる車両や、電波を用いた遠隔操作システムは、国内メーカーでもそれほど開発に苦労はしないでしょう。

 ただ、日本の防衛に携わる企業の多くは、防衛省から委託を受けて同省から支出された予算で技術開発を行います。不整地を走行する自律走行システムや、「汎用小型UGV(分隊支援型)」で求められている、行軍する部隊に随伴する、いわゆる「フォローミー」技術のような専ら軍事用UGVに求められる技術を早期に開発することは、難しいのではないかと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

【これでよくない…?】陸自がすでに試験している「海外製UGV」たち(写真)

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