陸自の「無人車両」今から“開発”するの!? 迫るタイムリミット 技術的にも“海外製をそのまま導入”がベストなワケ

防衛装備庁が陸自向けの汎用小型UGV(無人車両)の取得方法と、開発を検討するための情報を提供する企業を募集しています。すでに海外製品を試験してデータを取っていますが、そのまま導入しないのでしょうか。

その技術、いまから開発するの?

 MIFIKはもともと、テーミスと同社の戦闘用中型UGV「Type-X」用に開発されたものですが、航空機の「フライ・バイ・ワイヤ」から転用した、電線を伝わる電気信号を使用して車両を制御する「ドライブ・バイ・ワイヤ」技術を使って既存の車両と制御システムを統合する、モジュール式のハードウェアとソフトウェアから構成されたキットです。

 ドライブ・バイ・ワイヤ技術はトヨタなど日本の大手自動車メーカーでも研究されており、一部の技術は市販の乗用車で実用化されています。こうした技術を持つ自動車メーカーが防衛産業に本格的に進出してくるのであれば、また話は違ってくるのかもしれません。しかし現状、防衛産業に携わる国内企業の製造する製品は概ね利益率が低く、大手自動車メーカーには進出するメリットが乏しいため、本格的に進出してくる可能性は低いと筆者は思います。

 おそらく長い開発期と潤沢な資金があれば、現在防衛産業に携っている国内企業でも、十分な性能を持つUGVを開発できると筆者は思いますが、「5年以内」という時間的な制約のあるUGVなどの整備に関しては、純国産に固執せず。ミルレム・ロボティクスのような海外企業とのコラボレーションも視野に入れていくべきだとも思います。

【これでよくない…?】陸自がすでに試験している「海外製UGV」たち(写真)

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

最新記事

コメント