日産のネオクラシックな「パイクカー」が有名ですが「パイクバイク」もあったんです。スズキに! なぜ短命に終わった?

1992年にスズキが発売した250ccの「SW-1」は、従来のバイクデザインのセオリーを破る、独創的なモデルでした。1990年代の“ネオクラシック”人気の立役者でもあるSW-1とは、いったいどのようなモデルだったのでしょうか。

グッドデザイン賞も受賞 “レトロ”なデザインが反響を呼び市販化!

 1990年代、日本のバイク市場では、どこかレトロな雰囲気を持つ“ネオクラシック”デザインのバイクが一部で支持を集めました。その発端ともいえるのが、スズキが1992年に発売した「SW-1」というバイク。このモデルは時代を先取りしていたのか、はたまたスズキの独創的センスの産物だったのか、それまでのバイクデザインの常識を覆す、非常にエキセントリックな1台でした。

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「都市から自然の中へとライトクルージング」というコンセプトのもと開発されたスズキ「SW-1」(画像:スズキ)

「SW-1」は1989年、東京モーターショーで初公開されました。この時はあくまで参考出品のコンセプトモデルという扱いで、スズキも本気で市販化するとは考えていなかったようです。ところがSW-1は大きな反響を呼び、スズキも市販モデルの開発を決定。コンセプトモデルの公開から約3年後の1992年に発売となりました。

 なんといっても目を引くのは、その特徴的なデザイン。ボディ全体を丸みのあるカバーで覆った独特のフォルムは、1950~60年代の英国車のような、どこかクラシカルな雰囲気を放っていました。

 SW-1をデザインしたのは「ウォータースタジオ」(現:ウォーターデザイン)という会社。「SW-1」という社名はスズキの「S」と、ウォータースタジオの「W」を取ったものなのですが、実はこの会社は、当時四輪車の世界で人気を博していた「パイクカー」をデザインした企業でもありました。

 パイクカーとは、日産自動車が1980年代後半から販売を開始した“レトロ風”モデルのシリーズのこと。当時の現行車をベースとしながら、内外観は1960年代風のクラシカルなデザインとなっていたのが最大の特徴です。1987年発売の「Be-1」を皮切りに、「PAO」「フィガロ」などの一連のシリーズはどれも爆発的ヒットを記録。社会現象を巻き起こしていました。

 そうしたなかで登場したパイクカーならぬ“パイクバイク”のSW-1は、発売年の1992年には「グッドデザイン賞」も獲得。後年、各社が次々にリリースすることになる“ネオクラシック”バイクにも大きな影響を与えた1台でした。

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