日本や台湾もいかが? ウクライナが「武器輸出に本腰」その切実な理由 “実戦経験”に世界が注目

ウクライナが近く、防衛装備品の輸出戦略を提示する方針です。輸出を通じて資金を調達するとともに、自国の技術管理との両立を目指すと見られますが、3年以上におよぶ戦争の経験をビジネスにつなげる狙いがありそうです。

主要防衛企業が軒並み進出か!?

 ウクライナの新聞「ウクライナポスト」は、同国のデニス・シュミハル国防大臣による発言として、欧米の主要な防衛企業25社がウクライナ国内に生産施設を設けると述べたと報じています。

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ウクライナがT-80をベースに独自開発したT-84戦車。T-80はもともとウクライナ生まれだ(画像:アメリカ陸軍)

 シュミハル国防大臣は企業名を明言していませんが、ウクライナポストはドイツのラインメタルやフランスのタレスなどの名前を挙げています。

 これらの企業がウクライナへ生産施設を設置するのは、ウクライナから発注された防衛装備品をスムーズに引き渡すという目的もありますが、タレスのように、ウクライナで防衛装備品の輸出を統括するウクロボロンプロムと合弁会社を設立するなど、ウクライナの持つ技術と実戦で得たノウハウを自社のビジネスに活用しようとする企業も現れています。

 アジア地域でウクライナとの関係を深化させる動きを見せているのが、台湾です。台北で2025年9月17日から20日まで開催された防衛・セキュリティの総合イベント「TADTE」(Taipei Aerospace & Defense Technology Exhibition)では、ウクライナが初めて、ポーランドと共同でブースを出展していました。

 もともとウクライナと台湾の関係は、ウクライナが後に中国海軍の空母「遼寧」となる旧ソ連の未成空母「ワリャーグ」を中国に売却したことなどから、必ずしも良好ではありませんでした。しかし、知己の台湾人ジャーナリストによれば、防衛分野での協力を進めたいという台湾とウクライナの思惑が一致したため、出展が実現したようです。

 また、ウクライナは日本へも防衛協力を進めたい意向を示しています。2025年5月に幕張で開催された防衛総合イベント「DSEI Japan2025」には、ウクライナの戦後復興支援を志向している楽天のサポートを受けて、ウクライナの防衛装備品メーカーがブースを出展しました。

 ちなみに、実現はしませんでしたが、日本とウクライナのあいだでは、ロシアとの戦争で破壊された超巨大輸送機アントノフAn-225を協力して再生するという構想も存在していました。

思い出されるルーズベルト大統領の言葉

 第二次世界大戦中にアメリカを率いたフランクリン・D・ルーズベルト大統領は1940年、ドイツ帝国や大日本帝国と戦う国々に防衛装備品を供給する「民主主義の兵器廠」たらしめると述べています。

 日本には防衛装備移転三原則がありますので、防衛装備品の輸出は簡単ではありませんが、ゼレンスキー大統領の言う厳格な防衛装備品の輸出管理体制が強固なものになるのであれば、ウクライナと協力して防衛装備品を開発・生産し、自由主義や民主主義を尊ぶ国家に対して輸出を行い、新たな「民主主義の兵器廠」を目指すのもアリなのではないかと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

【えっ…!】ウクライナが日本や台湾で“営業”した武器たち(写真)

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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