数減らす「スイッチバック式」バスターミナル 背景に「駅前広場」の変化

入線や発車にバックをともなう「スイッチバック式」のバスターミナルが近年、数を減らしています。新規に造られることもほとんどないそうです。

ずらりと並ぶバス メリットもあるが…

 2016年10月1日(土)、岩手県盛岡市の盛岡バスセンターが、56年の歴史に幕を閉じました。建物の老朽化などのほかに、「スイッチバック式」のバスターミナルであったことも、廃止につながった要因のひとつでした。

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スイッチバック式の新潟駅万代口バスターミナル。大屋根の下に、13ものバス乗り場がずらりと並ぶ(写真出典:photolibrary)。

「スイッチバック式」は、入線や発車にバックをともなうバスターミナルの呼び方で、盛岡バスセンターは、前向きで乗り場に入り、出発時にバックして方向転換する方式。反対に、バックで乗り場に入り、前進で出発する方式もあります。

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上が入線時にバックする方式(新潟駅万代口)、下が出発時にバックする方式(盛岡バスセンター)の例(乗りものニュース編集部作成)。

 スイッチバック式バスターミナルは全国的に存在しますが、近年、その数を減らしています。2009(平成21)年には佐賀県伊万里市の伊万里バスセンターが、2010(平成22)年には福井市の京福バスターミナルが廃止。そして、新潟駅万代口バスターミナルも、新潟駅の高架化にともない姿を消す予定です。

 新潟駅周辺の整備を担当する新潟市都市政策部は、スイッチバック式である現在の万代口バスターミナルには「(駅前という)交通量の多い場所でバックすることによって、交通混雑が生じる」課題があると話します。大きなバスがバックのために道路まではみ出たり、複数台がほぼ同時に発車したりして、しばしば道路交通が遮断されるようです。駅部の高架下に設けられる新しいバスターミナルは南北の通り抜けが可能になることもあり、スイッチバック式のバスターミナルは廃止されるといいます。

 全国のバス事情に詳しい名古屋大学大学院の加藤博和准教授は、スイッチバック式は、民間事業者によるバスターミナル整備が一般的だった、ひと昔前に多かった形式といいます。鉄道事業者やバス事業者が、所有する駅周辺の用地を使って独自にバスターミナルを整備したころに多く造られ、新潟駅万代口バスターミナルもそのひとつです。

 安全面などで課題があるものの、「いわゆるロータリー式に比べると用地が小さくて済み、乗り場も密に配置できる。利用者にとっても歩く距離が短くなり、案内もしやすい点は有利」(加藤准教授)など、メリットもあるスイッチバック式。しかし、駅前広場のあり方が変化するにつれ、時代にそぐわなくなったのです。

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コメント

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5件のコメント

  1. 勉強にな っ た
    スイッチバックはほんとに貴重だから今のうちに撮影したり記録したりしますです

  2. たしかに、綱島のバスターミナルは場所が狭いうえに道幅も狭くて歩道もないから危険。
    よく歩行者や周囲の建物との接触事故が起こらないのが不思議なくらい。

  3. 地元では見慣れた光景、残ってほしいなぁ。

  4. 本文中にも記載がありますが、鉄道駅など建物に直結のスイッチバック式の方が利用者にとっては雨にも濡れにくく、何しろ徒歩移動が最短で済みますよね! 駅前ロータリー方式ではバス停には屋根が設けられていても駅舎などの建物までの道中は屋根なしも多く、ターミナル駅などでは地下街経由での上り下りが必要が多々で、特に高齢者・障害者には大変苦痛で不便でしかない。巨大ターミナルではスイッチバック式では収まりきれない路線数で対応出来なくも、中小駅・地方駅前のバスターミナルではスイッチバック式のメリットももっと考慮して、今後も継続採用して欲しいですね。

  5. 元ツアーバスの大規模の乗り場には、スイッチバック式で停める所もあります。
    例:WILLER梅田、東京鍜治橋、梅田モータープール...

    確か、バスタ新宿の一部の乗り場もスイッチバック式で、出発の際にバックが必要でしたね。