「だから『エイプ』なのか…!」ネーミングがウマすぎる!? ホンダもう一つの“猿”系バイクに今こそ注目のワケ

1990年代の日本のバイクシーンでは、多種多様なモデルや楽しみ方が人気となった一方で、「今、改めてベーシックな原付を」という“原点回帰”のニーズも次第に高まっていきました。ホンダはその声に応え、「エイプ50」を発売しました。

まるで“ヨンフォア”な限定モデルも!

 バイク本来の楽しさをシンプルな設計でアピールしつつ、ユーザーの声を反映したさまざまなバリエーションも展開していったエイプ。若者だけでなく、高級志向の大人にも親しんでもらおうと、2003年には外装をメッキパーツなどでドレスアップした「デラックスタイプ」も追加しました。

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2005年に追加された「プラズマイエロー」のモデル(画像:ホンダ)

 それ以降はカラーリングの変更程度の軽微な仕様向上を行っていきましたが、2007年には「平成18年国内二輪車排出ガス規制」に適合するために、マイナーチェンジを実施。ホンダ独自の電子制御燃料噴射システム「PGM-FI」を搭載したほか、エキゾーストパイプ内に排気ガスを浄化するキャタライザー(触媒装置)を装着し、環境性能を高めました。

 翌2008年には、50cc・100ccのそれぞれに1000台限定の受注モデル「スペシャル」を設定。これは“ヨンフォア”の愛称でも親しまれた、ホンダの往年のビッグバイク「ドリームCB750 FOUR」をモチーフとしたカラーリングのモデルで、当初ターゲットとして想定したトラッカーなどを好むユーザーだけでなく、往年のバイクファンも取り込もうという意欲を感じる1台でした。

 同じく2008年には、前後にディスクブレーキを備え、アルミ製のキャストホイールを装着した「Type D」というハイエンドモデルもラインナップ。“大人も楽しめる本格派原付“として親しまれましたが、ついに2017年、排出ガス規制への適合を見送る形で生産を終了。16年の歴史に幕を閉じました。

 エイプはモデルライフを通して、競合するような類似モデルがほぼ存在しませんでした。強いて挙げるなら同門のモンキーかもしれませんが、モンキーはエイプよりもさらにひと回り以上小さく、エンジンもカブ系の横置きユニット。比較するには少々毛色が異なるモデルでした。

 ベーシックを目指して開発されたエイプ50/100シリーズですが、当時のバイクファンのニーズを、非常によく分析して作られた1台であるといえます。今でも根強いファンは多い一方で、中古相場はモンキーなどと比べて、そこまで高騰していないのも魅力です。エイプは“遊び用の原付バイク”として、今こそ注目すべき1台だと筆者は思います。

【公道走行不可!】これがエイプの「原型」となったモデルです(写真で見る)

Writer:

1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。

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コメント

1件のコメント

  1. ノーティダックスの記事で『「CB50」用4サイクルOHVエンジンを搭載』

    とありますがOHCです。

    (オーバーヘッドカムシャフト)