自衛隊も使う最強戦闘機「F-35」の隠れたアキレス腱とは? “解決のための重要拠点”じつは日本にありました

世界最強のステルス戦闘機F-35「ライトニングII」。その性能は折り紙付きですが、実は「2回のうち1回しか飛べない」という衝撃的なデータがあります。最新鋭機が抱える意外な弱点と、日本にある解決策を説明します。

「部品が届かない」を解決する日本の拠点

 加えて、稼働率低下を招いているもうひとつの大きな原因が、世界規模での「部品不足」と「修理の遅れ」です。

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アメリカ空軍のF-35A「ライトニングII」(画像:写真AC)

 F-35は、開発・製造に参加した国々で部品を融通し合う仕組みを採用しています。しかし実際には、部品の修理に時間がかかりすぎており、在庫が枯渇する事態が頻発しています。

 部品の修理にかかる時間は目標の60日に対し、2023年時点で平均141日に達しているようです。

 目標の2倍以上の時間がかかっているため、修理待ちの部品が山積みになり、結果として機体が飛べない時間が長引いている模様です。

 このように、大きな問題を抱えているF-35戦闘機ですが、アジア太平洋地域において同機を運用するために重要な役割を担っているのが、日本にある「修理工場」の存在です。

 2020年7月から、愛知県豊山町にある三菱重工業の小牧南工場が、アジア太平洋地域の「地域整備拠点(MRO&U=整備・修理・オーバーホールなどの総称)」として稼働を開始しました。

 ここは、航空自衛隊の機体だけでなく、在日米軍などが運用するF-35の重整備(車検のような大規模整備)も請け負うことができる拠点です。

 部品不足や修理遅延という世界的な課題がある中で、自国内に高度な整備能力を持つ拠点が稼働していることは、日本の防衛力維持にとって極めて大きなアドバンテージとなります。

 ただし、この拠点の運用には難しい側面もあります。

 計画上はアジア太平洋地域全体をカバーすることになっていますが、例えば韓国軍の機体を日本で整備することに関しては、日韓の政治的な背景もあり、実際の運用は制限されているとみられます。

 そのため、オーストラリアやアメリカ本土の拠点も活用した複雑な運用が行われているのが実情です。

 ハイテクの塊であるF-35は、空を飛ぶだけでなく、地上での維持や整備もまた「新次元」の戦いです。システム刷新と国内拠点の活用により、最強の翼をいかに維持していくか。地道な戦いはこれからも続きます。

※一部修正しました(12月15日午後6時40分)。

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