お値段「2億円のベンツ」が走った! 90年前の“巨大はしご車”が奇跡の復活 10年かけた「執念のレストア」で名古屋に再び咆哮

2026年の名古屋市消防出初式に、1935年製の「メルセデス・ベンツ機械式はしご車」が登場しました。一時は“忘れられた存在”だったものの、大学やドイツ本国、さらにはトヨタ博物館まで巻き込んで見事復活。このたび自走を披露しました。

10年越しでレストアが終了

 退役後、消防学校の教材として備品扱いになっていたはしご車。その後イベントなどで展示され、最低限の整備もされていたようです。しかし2010(平成22)年に職員有志が走行を試みた際には、ブレーキやミッション等に問題が発生していました。

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10tの巨体が動いた!(2026年1月11日、鈴木伊玖馬撮影)

 そこで名古屋市消防局は2016(平成28)年に中日本自動車短期大学(岐阜県坂祝町)と協定を締結。大学の教育研究なども兼ねて、本格的なレストアを実施することになりました。

 レストアに際しては、エンジンやトランスミッション、サスペンションに加え、フレームやボディ、燃料タンク、電装品といった細部まで徹底的なレストアが行われています。

 関係者いわく、特に苦労したのがクラッチとのこと。今の自動車とは全く異なるタイプだったため、代わりの部品も見つかりませんでした。そこでクラッチを専門会社に送り、素材などを細かく分析。新しくパーツを自作しています。

 レストア作業に際してはドイツ本国にあるメルセデス・ベンツの博物館に協力を依頼。当時の部品はほとんどなかったようですが、それならと、必要なパーツは再度1つ1つ作り直しています。また、トヨタ博物館がほぼ同年代に作られたベンツ車を保有していたので、実際に行って観察し、参考にしたそうです。

 苦労の甲斐もあって、出初式では見事な走行を披露していました。古いエンジンなのもあってか、走行する30分前から長めに暖機運転をしていましたが、エンジン音は好調そのもの。90年前の車両ではありますが、その動く姿は往年の活躍を思い出させるに十分なものでした。

 名古屋市消防局いわく、ここまで古いはしご車は国内で唯一とのこと。今後は関係施設などで展示するとともに、、市民の防火思想の普及高揚に寄与するよう活用していく予定だそうです。

【ボンネット開けてる!】これが90年前に生まれた「現存唯一のベンツ製はしご車」です(写真で見る)

Writer:

愛知県生まれ。飛行機が好きで航空博物館などを取材するうち、自動車関係の記事や取材も手がけるようになる。ホンダ「シビック Type R」のようなホットハッチが好み。

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