平時に戦闘機が飛ぶ理由 現役空自司令に聞くスクランブルの重要性
相手に「姿を見せる」ことの重要性とは
那覇基地にはE-2C早期警戒機が配備されており、また南西諸島の各地にはレーダーサイトが設置され、常に領空へ接近する国籍不明機がないか警戒監視を行っています。そのうえで、なぜさらに戦闘機が必要なのでしょうか。レーダーで監視し、無線で退去を促すだけでは不足なのでしょうか。南西諸島方面における最高指揮官である、南西航空混成団司令 荒木淳一空将(取材当時。「荒」は正しくは「ボウ」の部分が「トツ」)は次のように述べました。
「レーダーで監視するだけではなくて、『姿を見せて適切に行動を監視する』というところが大事だと思います。我が国の領空に対して入ってくる可能性のある軍用機などは、まずは識別をして行動を監視しておかないと、スピードが速いのであっという間に入ってこられてしまいます。特に尖閣諸島のように『自分たちの領土だ』と言っている国がその上空を勝手にグルグルと飛び始めて、我々がなにもしないでいると、『何もしなかったじゃないですか』という言い掛かりをつけてくることにもなり、南シナ海のように既成事実を作られることにもなりかねません。必ず我々で可能な対応をきちんとするというのが大事だと思います」(南西航空混成団司令 荒木空将(取材当時))
有事に対する備えに限らずとも、治安を守りそして既成事実を作られないためにも、スクランブル発進できる態勢を常に維持しておくことは極めて重要であると、最前線を守るふたりの司令はともに強調します。中国に対するスクランブルが増加する非常に厳しい状況において、那覇基地のその重要性は今後さらに増してゆくことになるでしょう。
【了】
テーマ特集「【ミリタリー】「防衛最前線」 航空自衛隊・那覇基地」へ
記事所収の時間は前後しているが『N700系新幹線の「鼻」を開ける方法』における総合復旧訓練でJR東海の担当者が「訓練以上のことは実践できないというスタンスで臨みたい」とマスコミに述べたという。
軍事も民生も、敵も味方も、同じことだ。