人呼んで「通勤快速」 スズキのド定番スクーターの39年 いかにもスズキな“売り方”とは?

1980年代前半から後半にかけての原付市場はスクーター一色。ホンダかヤマハのスクーターが目立つなか、スズキの「アドレス」も、1987年の発売から今日まで親しまれています。

アドレスに宿る“鈴菌”への良心

 こうして軸足が原付二種に移っていったアドレスシリーズは、その軽量さとパワーから、「通勤快速」なる異名をとるようになります。 2010年にはアドレスV125がモデルチェンジし、「アドレスV125S」へと進化。パワーダウンはしたものの、当時の最新機能を備え、実用性を高めたモデルでした。

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2015年にインドネシア生産のグローバルモデルとして復活したアドレス110(画像:スズキ)

 また2015年には、なんとアドレス110が復活を果たします。日本では振るわなかったアドレス110ですが、実はアジア諸国では人気を獲得しており、インドネシア生産のグローバルモデルとして刷新された新型モデルが、日本にも導入されることとなったのです。新型アドレス110は、スズキ初のエコエンジンを搭載し、国産の同クラス最軽量となる車両重量97kgを実現。取り回しの良さと燃費性能を高めたモデルとなっていました。

 一方、125ccモデルは2017年に、中国のスズキ現地法人が生産する新型モデルへと切り替わり、車名は再び「アドレス125」に戻りました。新開発のエンジンは燃焼効率向上やフリクション低減などによって、スムーズな加速・燃費の双方を実現しました。

 この国内向けアドレス125は、2022年にもフルモデルチェンジを受け、今度はインド市場向けモデルがベースに。エコエンジンを搭載したほか、丸みのある外観を採用してイメージを一新、またライディングポジションなどもブラッシュアップされ、より小回りの効くモデルへと進化しました。

 そして、2025年にはこの路線を継承した新型アドレス125が登場。フレーム構造を刷新したほか、パワーユニットは吸排気・駆動系を含む多くの箇所が改良され、レスポンスの良い乗りやすいスクーターとして商品力を高めました。

 来年2027年に誕生から40周年を迎えるアドレスシリーズは、50ccから原付二種へと移行しつつ、モデルチェンジを重ねてきました。このモデル変遷において特徴的なのが、「旧モデルをいきなり廃盤にすることなく、最新モデルと併売する」ケースが多かったこと。いかにもスズキ的な販売手法であり、「古いモデルが、必ずしも最新モデルに劣るとは限らない」というような、慎重で謙虚な思想を感じます。

 こういった独特の販売手法は、ユーザーからのフィードバックを大事にする姿勢の表れでもあり、アドレスシリーズがロングセラーとなった要因でもあると思えます。アドレスはスズキの良心的な開発姿勢が詰まったシリーズのひとつであり、いわゆる鈴菌(スズキの熱狂的ユーザーのこと)にとっては、強い誇りを感じられる1台でしょう。

【旧型より先に消滅!?】これが「幻のアドレス」です(写真で見る)

Writer:

1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。

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