「ミサイルが足りない」 世界が欲しがる“主力装備”日本も国内製造へ 輸入に頼れない“背に腹代えられぬ”事情
防衛省が空対空ミサイル「アムラーム」の国内生産に着手する方針を固めました。航空自衛隊の主力戦闘機F-35に搭載できる唯一の中射程ミサイルですが、その背景には国際的な需要の高まりもあるようです。
「アムラーム不足」顕在化 背に腹は代えられない?
前に述べたように航空自衛隊向けアムラームの大量調達は2014年度から開始されていますが、物価高と終わりの見えない円安の影響で、アメリカからの輸入価格は右肩上がりに上昇しています。
国内生産を行うことで、アムラームの調達価格がどの程度下がるのかを予測するのは困難なものの、輸入の場合より出費を抑えられる可能性もあります。日本は万が一有事が発生した場合の継戦能力を高めるため、ミサイルだけでなく砲弾などの調達数を増やしていますが、航空自衛隊の戦闘機戦力の要であるF-35に搭載するアムラームの国内生産は、継戦能力を高める上でプラスになるのは間違いないでしょう。
アムラームはウクライナにも供与されています。ウクライナ空軍の主力である旧ソ連製の戦闘機には統合できませんが、オランダなどから無償供与されたF-16戦闘機にとって欠くことのできない空対空兵装ですし、またアメリカ、カナダ、ノルウェーから供与された防空システム「NASAMS」(National Advanced Surface-to-Air Missile System)でも使用されています。アムラームの国産化は、日本からの“輸出”の道も切り開く可能性があるのです。
NASAMSはロシア連邦軍の弾道ミサイルや巡航ミサイルの迎撃で大きな成果を上げていますが、多くのアムラームを消費しています。ウクライナへのアムラームの供与は、供与した国の在庫を取り崩す形で行われています。供与国、とりわけヨーロッパ諸国は在庫の補充に加えて、ロシアの軍事的脅威に対抗するため、アムラームの拡充を希望していますが、現在生産を担当しているRTXの生産能力も限界に近づいており、希望に応えきれていないのが現状です。
ミサイルのような殺傷能力を持つ防衛装備品の輸出には防衛装備移転三原則の緩和が必要になります。日本でアムラームの生産が行われた場合、アメリカとの共同生産という形になりますから、アメリカの承認を得る必要もありますが、これらの条件がすべてクリアになるのであれば、同盟国のアメリカだけでなく、自由経済や海洋の自由利用といった日本と価値観を共有する「同志国」に対しても「日本産アムラーム」を輸出すべきなのではないかと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。





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