えっ…「プリウス化した装甲車」なぜ? 「戦場に電気自動車」が生まれた意外な理由とは

シンガポールでハイブリッド電気駆動の歩兵戦闘車「テレックスS5 HED」が公開されました。戦闘車両が電動化される背景には、エコとは異なる軍事的な理由がありました。

「ハイブリッド電動戦車」そのメリットとは

「テレックスS5 HED」のエンジンは高い発電能力があり、通常型テレックスS5の発電量が20kWに対して、こちらは最高で400kWもの電力を生み出すことができます。これは車両を走らせるモーターを動かすだけでなく、車内に搭載された各種電子機器やコンピューターを動かすのに活用されます。

 車体上部に搭載された砲塔は遠隔操作で動き、内部に装備されたレオナルド社製30ミリ機関砲「X-Gun」も油圧式ではなく電動式です。さらに砲塔の周囲を囲む様に対無人機用レーダーが搭載されており、近年の戦場で脅威となる無人機やドローンの警戒・迎撃能力を有しています。

 車内の乗員席の目の前には従来式のペリスコープに代わってカメラ映像をパノラマ化した大画面のモニターが装備されており、さらにネットワーク能力によって他の車両や他部隊と連携できるほか、車両から発進させたドローンや無人車両(UGV)を指揮・管制することも可能です。

 つまり、「テレックスS5 HED」が活躍する今後の地上戦では、車両のデジタル化はもちろんのこと、膨大な数の電子機器や無人兵器が活躍し、それらを動かすためにはこれまでにない大電力が必要となるのです。

 現時点で「テレックスS5 HED」の採用を決めた国はありませんが、STエンジニアリング社では開発自体は完了しており、顧客となる国があれば生産を行なうことが可能だとしています。また、HEDの技術自体は、IFVだけでなく装甲車など他の軍用車両をハイブリッド電気駆動にすることもできるそうです。

 ハイブリッド電動化といえば、一般には低燃費やエコといったイメージが強く、戦闘車両がそのような対応を行なうことに疑問を抱く人も多いでしょう。しかし、近年のドローンやネットワーク戦の普及によって地上戦闘にも大きな変革の流れが起きており、ハイブリッド電動化は今後増大するであろう戦場の電力需要に応えるための技術革新のひとつだといえるでしょう。

【写真】えっ…これが「プリウスみたいな装甲車」驚愕の全貌です

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雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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