「ダメだこりゃ」の雰囲気が覆う欧州「新戦闘機」の共同開発、“国替え”の可能性も!? “ぴったりな国”が大陸の向こうに

フランス・ドイツ・スペインが共同開発する新戦闘航空システム「FCAS」の“空中分解”が確定的との見方が出ています。その一方、新たな“パートナー国”も浮上しています。

最大のガン=主導権争い

 もうひとつの理由は、開発の主導権争いです。NGFの開発をフランス側で主導するダッソー・アビエーションと、ドイツ、スペインの両国で主導するエアバスの間で対立があります。

 仮に2種類の戦闘機を並行開発するというフォーリCEOの考えがエアバス主導で行われた場合、ダッソー・アビエーションのワークシェアは少なくなることが必至です。ベルギーの参加すら「彼らに与える仕事は無い」と否定的な見解を示したダッソー・アビエーションにとって、到底受け入れられるものではないと考えられます。

 FCASの共同開発プロジェクトが本当に空中分解するのか、その場合ドイツ、フランス、スペインの3か国がどうするのかを予測するのは困難です。しかし妥協点として、前述のコンバットクラウドの共同開発は継続し、それに接続する有人戦闘機やUASは、それぞれ別のものを開発するという形は考えられます。

 フランスはアメリカ、ロシア、中国とともに、機体からエンジン、システムまで戦闘機の構成要素をすべて自力で開発する能力を持つ数少ない国のひとつです。このため時間とお金をかければ、第6世代戦闘機を自主開発できると考えられますが、巨額の開発費をフランス一国で賄うのは難しいのではないかとも考えられます。

ドイツが抜けたら…別の国が!?

 前に述べたように、イギリスはGCAPを通じてイタリア、日本と新戦闘機の共同開発を進めていますが、ポリティコはその計画にドイツが参加する可能性があるとしています。もちろんイギリスの独自開発ではないので、アメリカからF-47を購入するか、GCAPへの参加、またはGCAPを購入するかのいずれかを選択しない限り、ドイツは次世代戦闘機を手にすることはできません。

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インド空軍の「ラファール」。フランスとの関係は深い(画像:インド空軍)

 アメリカのドナルド・トランプ大統領はF-47を輸出すると述べていますが、ドイツにはエアバスをはじめとする多くの航空防衛産業があります。F-47のドイツでの生産が認められない限り、ドイツは産業保護の観点からF-47の導入には踏み切れないのではないかと思います。

 ヨーロッパの一部には、FCASとGCAPを統合すべきとの声もありますが、エアバスの防衛部門であるエアバス・ディフェンス・アンド・スペースのマイケル・ショホローンCEOは、2025年5月に東京で行った会見の席上、それは現実的でないとしています。既に開発計画が進行しているGCAPに、ドイツが今から参加することは難しいと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

 また、一部の海外メディアはドイツがGCAPで開発される新戦闘機を購入し、ドイツ空軍向けの機体をドイツ国内で生産するのではないかと報じています。この方法ならばGCAP計画に混乱を招くことなく、ドイツ国内の雇用を確保できますし、エアバスがFCAS向けに研究開発を進めていたUASの技術を取り込める可能性も生じますので、この方法ならば実現の可能性はあると筆者は思います。

【ここまで作ってるのにね…】これが「FCAS」の新戦闘機です(写真)

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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