道路の健全、どう守る? 老朽化進む橋やトンネル、その点検の最前線とは
橋やトンネルなど道路の老朽化が問題となっている昨今、それに対処する技術も日々、培われています。ベテランの技と最新鋭のデジタル機器などを駆使して行われる道路点検とは、どのようなものなのでしょうか。
「笹子」以降、重要度を増す点検
高度経済成長期に整備された道路の老朽化がいま、問題になっています。国土交通省によると全国には約73万の橋梁がありますが、そのうち建設後50年を経過した橋梁は、2016年時点で約2割、10年後の2026年には4割を超えるそうです。
それら橋梁やトンネル、路面などの点検は日々の安全に必須のものですが、今後、さらに老朽化が進み、危険箇所が出てくることも考えられます。
そうした事態に対応すべく2016年10月、NEXCO中日本のグループ会社である中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京が、神奈川県相模原市に技術研修所を開設しました。同所の赤坂俊幸所長によると、道路の点検はベテランの経験に支えられてきた部分が大きいといい、そのノウハウを次世代に引き継ぐため、研修所を設けたといいます。
この研修所には、実地を想定した高速道路の点検技術などを訓練すべく、実際の高速道路と同等の構造物を再現した模型や、あるいはその実物が集められています。赤坂所長は、「さまざま構造物を1か所に集めました。土に隠れた部分やコンクリートの内部など、見えないところも再現しています」と話します。
2012年12月、NEXCO中日本管内の中央道にて、9人が亡くなった「笹子トンネル天井板落下事故」が発生しました。
「笹子トンネルの事故がきっかけで、2014年に道路法が改正され、道路施設の点検頻度が高まりました。その一方で、点検技術者のなり手不足やベテランの退職による、技術継承の問題があります」(赤坂所長)
技術研修所には、新人に点検のポイントを理解させ、ベテランの技術や経験をより効率的に伝えていく狙いがあると赤坂所長はいいます。
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