やけに「“A席”から予約が埋まる特急」に乗った 3時間40分の“大運転”いまや2往復に
JRの一般的な特急の普通車は窓側の座席がA席かD席ですが、「A席」から予約が埋まる東日本の特急があります。その理由は、乗ってみると火を見るより明らかでした。
「D席のほうがイイ」区間もある
次の停車駅の余目(山形県庄内町)は陸羽西線との乗り換え駅です。山形新幹線の終点の新庄(山形県新庄市)まで43.0kmを結ぶ陸羽西線は、「奥の細道最上川ライン」の愛称が物語るように、走行中に最上川の絶景を眺められるのが売りです。線路の近くを通る国道47号(高屋道路)のトンネル工事に伴って2026年1月まで約3年8か月にわたって列車の運行が止まり、バスが代行していました。
余目の次の停車駅が酒田。山形県酒田市は北前船の寄港地として発展した商業都市で、人口は9万1979人(2026年1月末時点)と庄内地方で鶴岡市に次いで多く、鶴岡市とは「宿命のライバル」(地元経済人)とか。ホームには、川崎造船所(現・川崎重工業)が1914年に製造した蒸気機関車(SL)9600形9632号機の車輪が飾られています。
ここまで激推ししてきたA席ですが、鶴岡から遊佐(ゆざ、山形県遊佐町)の先にかけては反対の窓際の普通車ならばD席、グリーン車ならばC席からの景色の方が上かもしれません。というのも、特に晴れた日ならば鶴岡周辺では月山(標高1984m)が見えたり、遊佐の先で鳥海山(標高2236m)の山容を見渡したりできるからです。
ただし、遊佐の隣駅の吹浦(遊佐町)を過ぎると、A席の車窓に再び日本海が広がります。日本海の絶景が抜きん出ているだけに、「いなほ」の全区間を乗り通すならば圧倒的にA席がお薦めだと太鼓判を押すことができます。
第三セクター鉄道の由利高原鉄道と接続する羽後本荘(秋田県由利本荘市)などに停車後、定刻の18時半に終点の秋田に滑り込みました。3時間40分の行程は、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」ならば東京―福山(広島県福山市)間に相当する長時間です。しかし、駅名標に記された「あきた」とは決して思わせない、見所に富んだ車窓でした。
Writer: 大塚圭一郎(共同通信社経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員)
1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。





大塚さん。また、SBCにも出演してね〜