「最後は満身創痍」昭和の「レトロ巡視船」ついに引退「終戦直後の設計残る最後の船」との声も
昭和から令和まで約40年にわたり海を守った巡視船「たかとり」が、ついに引退を迎えました。「出港のたびどこか故障した」と乗組員に愛され、終戦直後の設計思想を色濃く残すレトロな大ベテランの船歴に迫ります。
乾舷が低い! 終戦直後の設計思想を残すレトロなシルエット
当時、日本は領海の拡張と排他的経済水域(EEZ)の設定という新しい海洋秩序形成への対応が迫られていました。国際的な潮流と国内世論の高まりを受け、1977(昭和52)年5月には「領海法」と「漁業水域に関する暫定措置法」が成立。領海は3海里から12海里へと拡張されるとともに、200海里の漁業水域が設けられることになります。
これを受け、海上保安庁が警備を受け持つ海洋の面積は領海だけで従来の約4倍、漁業水域を含めると50倍へ大きく増加することから、外洋での行動能力を高めた新たな巡視船艇が求められました。
こうした背景から、中型巡視船(PM)のてしお型は1980(昭和55)年9月竣工の1番船「てしお」(後に「なつい」)から、最終船の「せんだい」まで全14隻が建造されます。
竣工から25年後の2013(平成25)年12月、「せんだい」は横浜海上保安部へ移動。ここで「つるみ」へと名称を改めた後、2016(平成28)年1月に下田海上保安部へ配属が変わり、そして同年10月に横須賀海上保安部の「たかとり」となりました。
近藤部長は「国際情勢の変化などに伴って配属替えや船名の変更を重ねながら、『たかとり』はどの地でも能力をいかんなく発揮し、与えられた任務を全うしてきた。長い間、第一線で活躍し、満身創痍となった同船を整備・運用してきた乗組員に心から感謝したい。この船を見送る日が来たことは寂しい限りだが、有終の美を飾られるよう、最後までのご安航を心から祈る」と別れの言葉を述べました。
「たかとり」を側面から見ると海難救助など海面での作業のしやすさを重視し、乾舷が非常に低くなっています。船首に向けては波への抵抗力を高めるため「シアー(傾斜)」がついており、それが独特のシルエットとなっています。
船内を案内してくれた海上保安官は「終戦直後に建造された船艇の設計思想が残っている最後の巡視船なのではないか。『たかとり』を最後に、乾舷が高い新世代の船にどんどん変わっている」と説明していました。





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