「最後は満身創痍」昭和の「レトロ巡視船」ついに引退「終戦直後の設計残る最後の船」との声も

昭和から令和まで約40年にわたり海を守った巡視船「たかとり」が、ついに引退を迎えました。「出港のたびどこか故障した」と乗組員に愛され、終戦直後の設計思想を色濃く残すレトロな大ベテランの船歴に迫ります。

操船は熟練の技! クセの強い「2軸1舵」と激渋ブリッジ

「たかとり」のブリッジ内にはレーダーやエンジンコンソール、操舵スタンドなど航海計器が所狭しと置かれ、窓の小ささと相まって現代の巡視船に比べると非常に狭く感じます。前面には、今では見ることが少なくなった「旋回窓」が備わっています。

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横須賀を後にする巡視船「たかとり」を「帽振れ」で見送る横須賀海上保安部職員たち(深水千翔撮影)。

 これは、丸いガラスを高速回転させて遠心力で水滴を飛ばす構造で、荒天時でも視界を確保できる一方、どうしても死角ができやすいため、その後はワイパー付きの角窓が主流になりました。このように「たかとり」は死角の多いブリッジゆえに、実際の運用ではさまざまな工夫が必要だった模様です。

 また、機関についても2軸1舵船のため操作性が悪く、操船には熟練の技が必要でした。田中船長も「曲がりたいと思って舵を切ってもなかなか曲がらない。早く動いてくれという時に動いてくれない。出入港のたびに神経を使う船だった」と話します。

 とりわけ横須賀海上保安部の桟橋へは、スペースの関係で船尾から接岸していたため、アンカーを落としながら慎重に寄せ、左舷側はビットではなく浮桟橋の係留杭にロープを張るという作業を行っています。

 一方で「非常に好きな船」という声も乗組員から聞けました。「『たかとり』は低速度域での安定性がかなり高かった。乗組員数も多く、警備や救難、密漁の取り締まりでも真っ先に投入できる船だった」と語っていました。

「たかとり」は八戸港(青森県八戸市)へと回航され、3月26日にそこで解役されます。最後の出航に伴い、横須賀海上保安部巡視艇基地に接岸している巡視船艇にはUW旗(ご安航を祈る)が掲げられ、多くの海上保安官に見送られながら、「たかとり」はゆっくりと横須賀を離れていきました。

 なお、横須賀海上保安部には、代替として横浜海上保安部から巡視艇「いそづき」が移動してくる予定です。

【これが旋回窓です】風呂やトイレも昭和レトロ! 巡視船「たかとり」隅々までイッキ見(写真)

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1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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