誤差数メートルの「トマホーク」の盲点 イランの小学校が被害に「正確な誤爆」なぜ起きた?
アメリカとイスラエルによるイラン攻撃が続くなか、報じられた「小学校への誤爆」。数メートル単位の命中精度を誇る巡航ミサイルが、なぜ民間施設を破壊したのでしょうか。現代戦が抱える「正確な誤爆」の恐るべき真実に迫ります。
兵器ではなく「人間」が間違える! 過去には中国大使館への誤爆も
現代のターゲッティングは、多層的な情報融合によって成立しています。偵察機や人口衛星による画像取得、通信傍受、人的諜報などが組み合わされ、標的の軍事的価値が評価されます。しかし、このプロセスも決して間違いや誤りが全くないわけではありません。例えば、軍事組織が民間施設を偽装利用していた場合、あるいは過去に軍事施設だった建物が用途転換されていた場合、情報の更新遅延や誤解釈が致命的な結果を招く可能性があります。
歴史を振り返っても同様の事例は存在します。1999年5月7日のユーゴスラビア爆撃「アライドフォース作戦」において、アメリカ空軍のB-2ステルス爆撃機がベオグラードの中国大使館を誤爆した事件は象徴的です。この攻撃もまた精密誘導爆弾「JDAM」によって実施され、命中精度自体に問題はありませんでした。誤りは、標的データベースにおける位置情報の更新ミス、すなわち「どこを攻撃すべきか」という根本的判断にあったのです。
今回の小学校への着弾も、同様の構造で理解することができるでしょう。すなわち、その施設が何らかの軍事的拠点、あるいはそれに準ずる目標として誤認された可能性です。
精密誘導兵器の普及による精度の向上は破壊の選択性を高め、無誘導兵器による無差別爆撃を効率が悪い過去の作戦としています。一方で、戦争を「クリーン」にするという認識が必ずしも現実を反映していないことは事実でしょう。
いかに高度な兵器体系であっても、認識の誤りからは逃れられず、「正確な誤爆」という、高度な技術を前提とする現代戦における特有の脆弱性を露呈したのが、今回の小学校誤爆であると捉えることができるのです。
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。





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