塗料が作れないかも――ホルムズ海峡危機が“造船”を直撃 原料価格2倍も 「商売が成り立たなくなる」
中東情勢の緊迫化で、日本の造船業に影響がじわりと広がっています。常石グループの会見では、船体の建造や維持に不可欠な塗料の原料が供給できなくなる可能性が語られました。
タンカー足止め、そして「塗料が作れないかも」
「ナフサ由来のシンナーが調達できず、船体の塗装で使う塗料が供給できなくなってくる可能性はある」――東京都内で2026年4月13日に開かれた常石グループの業績報告会で常石造船の奥村幸生社長が中東情勢の影響についてこう話しました。
米国とイスラエルが2月28日にイランへの大規模な軍事攻撃を始めて以来、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上の封鎖状態に陥っています。事態の長期化に伴ってサプライチェーンの混乱が全世界的に広がっており、原材料の供給制限やコストの上昇などで、国内においても経済活動への悪影響が出ています。
常石グループでは、海運事業を手掛ける神原汽船のタンカー1隻がホルムズ海峡に閉じ込められているものの、事態解決の見通しは立っていません。
神原汽船の神原宏達社長は「当社のLR(ラージレンジ)1型プロダクトタンカー1隻がホルムズ海峡内に停泊している。随時確度の高い情報を取り集めているが、まだ乗組員や船舶の安全の担保が出来ていないという考えから、留まっている状況だ」と説明します。同社の自社保有船は2025年12月末時点で42隻。バルカーを中心とした船隊構成で、タンカーはLR1型を3隻保有しています。
国際情勢による事業の影響について神原社長は「当社は日中航路で定期コンテナ事業をやっているが、足元では影響が出ているような感じはなく、取り扱い数量も変わってない」と話すものの、「燃料の調達が日本でかなり難しくなってきている。また、以前から中国で補油(燃料補給)を行っており、今でも可能だが、価格が高騰している」と述べています。
燃料調達の懸念は、造船事業にも及んでいます。常石造船の奥村社長も「重油が確保しにくくなる懸念があり、当然ながら値段も上がってきている。現在のところ直接的な影響はないが、このまま続くと新造や修繕の事業に大きな影響が出てくるのではないか」との見解を示しています。
常石造船は国内外4か所の拠点で新造を、国内7か所の拠点で修繕をそれぞれ手掛けています。大型商船の建造を行っているのは常石造船の常石工場(福山市)、中国の常石集団(舟山)造船、フィリピンのツネイシ・ヘビー・インダストリーズ(セブ)の3か所で、2025年の建造隻数は計41隻です。修繕にも力を入れており、年間実績は国内で一番の500隻以上となっています。




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