ロマンスカー史上“最高”の展望性が引退の理由に 時代に翻弄された小田急「HiSE」、実はまだ乗れる!?

小田急電鉄の10000形「HiSE」は、ロマンスカーの伝統を守りつつ、最大の展望性を備えた車両でした。長野電鉄に譲渡された現況も含めて紹介していきます。

バリアフリーへの対応から引退の道へ

 1987(昭和62)年に登場したHiSEは、運行開始後しばらくは速達型の「はこね」に限定して運用され、小田急の新たなシンボルとして活躍しました。

 1991(平成3)年に20000形「RSE」、1996(平成8)年に30000形「EXE」が登場すると、イメージリーダーとしての座を後継に譲ります。しかし、これらの展望席がないロマンスカーは観光客からの評判が悪く、2002(平成14)年からHiSEがイメージリーダーとしてテレビCMに復活するという異例の扱いを受けています。

 ただ、2000(平成12)年に交通バリアフリー法が制定されたことが、HiSEの寿命を短くします。一般席の入口に段差があるハイデッカーのHiSEはバリアフリーへの対応が困難とみなされたのです。こうした理由で、HiSEは2012(平成24)年までに引退することになります。

 しかし、HiSEの活躍は終わりませんでした。2006(平成18)年に譲渡先の長野電鉄で「1000系」となり、特急「ゆけむり」として走り出しました。

 外観は小田急時代とほぼ同じですが、ワインレッドの塗装部分が、長電レッドと呼ばれる長野電鉄特急色に変わっています。そして、耐雪ブレーキやドアレールヒーターの装備など、雪への対策がなされました。

 11両編成が4両編成に短縮され、ビュッフェ、トイレ、洗面所はなくなったものの、それ以外は小田急時代の雰囲気を残しています(オリジナルの保存車は「ロマンスカーミュージアム」で見られます)。

 小田急時代に課題となったバリアフリー対応は、展望席部分だけが平屋のため、ここをバリアフリー対応とすることで解決しています(側扉の幅が62cmしかないため、車いすによっては対応できないようです)。LED車内案内表示装置の追加など、小田急時代よりも進化している部分もあります。

 長野電鉄でも展望席からは素晴らしい展望を楽しむことが可能です(進行方向の展望席は指定席に含まれています)。長野電鉄はJR東日本の元特急「成田エクスプレス」用253系電車を2000系として導入していますが、「ゆけむり~のんびり号から」「北信濃ワインバレー列車」などのリゾート色が強い列車では、1000系が優先的に使用されています。

 小田急50000形「VSE」の引退で、長野電鉄1000系は数少ない現役連接車となりました。登場時の素晴らしい展望性は今でも健在です。これからも、多くの乗客を楽しませてほしいものです。

【展望性良し!】小田急ロマンスカー「HiSE」の車内を見る(写真)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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コメント

1件のコメント

  1. エヴァンゲリオンにも出てたよね