飛んでいるドローンを「爆弾」で撃墜!?「最強の戦闘爆撃」が試みた驚きの戦術とは? じつは「35年前にヘリ撃墜した伝説」あるんだけど

2024年4月、イランによるイスラエルへの大規模攻撃。約300機のドローンとミサイルが夜空を覆う中、迎撃にあたったアメリカ空軍のF-15Eは、なんと対地攻撃用の「レーザー誘導爆弾」で撃墜しようと試みました。

35年前に米軍戦闘機が採った衝撃の撃墜方法

 ちなみに、このような使い方が完全な空想ではないことは、歴史が示しています。1991年の湾岸戦争において、アメリカ空軍のF-15Eがホバリング中のMi-24D「ハインド」ヘリコプターに対し2000ポンド級の「ペイブウェイ」レーザー誘導爆弾を命中させ撃墜した事例が存在します。

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GBU-54「レーザーJDAM」は爆弾の先端にパッシブレーザーシーカーを備えた複合誘導タイプ。(画像:アメリカ空軍)

 静止に近い状態のヘリコプターという条件ではありましたが、この35年前の戦果は、誘導爆弾による空中目標の撃破が理論のみならず実戦においても成立し得ることを証明した出来事だったといえるでしょう。

 しかし、今回のイスラエルのケースでは、結果として成功に至らなかったと見られています。これはむしろ当然の帰結とも言えるかもしれません。ドローンは小型であり、低速とはいえ100km/h以上で飛行します。一方、投下兵器であるレーザー誘導爆弾は、空対空ミサイルのような推進力や高機動性、追尾能力を備えておらず、命中には極めて厳格な投下条件と持続的なレーザー照射が求められます。

 それでもなお、この試みが持つ意味は軽視できません。ドローンは、しばしば空対空ミサイルよりもはるかに低コストで大量投入され、防御側に弾薬消耗という構造的負担を強いてきます。

 迎撃側がミサイルを撃ち尽くした後に採れる手段は限られており、F-15Eに搭載された20mm機関砲「バルカン」もその1つではあるものの、高速で飛行する戦闘機が低速目標を機関砲で捕捉する場合、接近に伴う衝突リスクという別種の危険を孕みます。

 こうした制約の中で、あえて精密誘導爆弾を空対空用途に転用しようとする発想は、持続的戦闘能力を最大化しようとする合理的試行と位置付けられるのではないでしょうか。有限の兵装をいかに柔軟に運用し得るか、2024年4月13日の夜に試みられたこの一挙は、失敗であったとはいえ、F-15Eの可能性を最大限に発揮しようとした例だと言えるでしょう。

【重さ13t超え!】世界一強力な「バンカーバスター」投下の瞬間です(写真)

Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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