「空母」が特別であるワケ 米「航行の自由作戦」を支える、その巨大な力とは

世界各地で実施している「航行の自由作戦」のかなめ

 アメリカ政府はかねてより、他国が過剰な海洋権益を主張する海域に対し艦艇を派遣し航行させることで、「アメリカは許容しない」というメッセージを与える軍事行動、「航行の自由作戦」を40年近くにわたり断続的に実施しています。空母は巨大な攻撃力を有するが故に、実際に武力を行使しない「航行の自由作戦」においても最大級の圧力を相手に加えることができます。

 ただし武力を行使しないとはいっても、必ずしも戦闘が発生しないとは限りません。実際に実弾射撃にまで至った事例もあり、1981(昭和56)年の「シドラ湾事件」ではリビア空軍の戦闘機編隊が空母「ニミッツ」に接近、うちリビア空軍の戦闘爆撃機スホーイSu-22と艦隊防空にあたっていたグラマン(当時)F-14「トムキャット」が、可変後退翼戦闘機同士による珍しい2対2のドッグファイトに突入しました。このときは、高度な情報処理システムと新型サイドワインダー空対空ミサイルを搭載するF-14が圧倒、Su-22を2機とも撃墜し勝利しています。また1989(平成元)年にもシドラ湾において、F-14と可変後退翼戦闘機MiG-23によるドッグファイトが発生し、やはりF-14が勝利しました。

Large 170329 ac 02
米海軍のF-14「トムキャット」は2006年9月にすべて退役したが、2017年現在、唯一の輸出先であるイラン空軍にて運用が続けられている(画像:アメリカ海軍)。

 2016年には東シナ海において、中国軍戦闘機と航空自衛隊戦闘機が異常接近し、ドッグファイトに近い状態にもつれ込んだのではないかという報道が何度かありました。それを考慮すれば南シナ海でも東シナ海と同じように、アメリカ海軍の艦上戦闘機と中国軍戦闘機のドッグファイトが発生する可能性は十分にあるといえます。

 現在の米中関係ならばドッグファイトとなった場合でも、シドラ湾事件のように実弾射撃にまで至るとは考えにくく、あったとしてもレーダー照準によって追い返す程度となるでしょう。しかしながら突発的に両者が望まぬ撃墜・被撃墜が生じることも、十分にあり得る未来だといえます。

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. 空母の最大の問題は、老朽化した際の代替艦建造の際の予算。オランダもアルゼンチンもブラジルもカナダもオーストリアもスペインも、みんな予算の関係で空母代替建造を諦めた、ないしは別の艦種で代替したし、フランスやイギリスですら減数代替しか出来なかった。そこからするとインドも中国も半世紀後には空母の代替建造どころか維持管理すら不可能なほど困窮している可能性が極めて高い。