道の駅こそ、もはや「駅」 鉄道に代わる“知られざる路線網” 地元民が使いこなす高速バス活用術
「道の駅」に高速バスの停留所が併設されていることが少なくありません。その多くは観光客向けというより、地元住民がクルマを停めてバスに乗り換える拠点として定着しているようです。
「道の駅乗り継ぎ」前提でダイヤを組む!
道の駅で乗り継ぐのは乗務員だけではありません。兵庫県北部の但馬地方を拠点とする全但バスは、城崎温泉・豊岡地区と浜坂・湯村温泉地区から、大阪と神戸へ高速バスを運行しています。2つの地区から2つの都市へ運行しているため、地図で示すと「X」字状になりますが、このうち浜坂・湯村温泉と神戸の区間のみ、直行便がありません。
そこで、城崎温泉・豊岡~神戸線と、浜坂・湯村温泉~大阪線を、休憩場所である道の駅「あおがき」(兵庫県)で相互に乗り換えできるようにしています。
高速バスどうしの乗り継ぎと言えば九州道の基山PA(佐賀県)が有名ですが、こちらは、あくまで別々に運行される高速バス路線を乗り継ぐものです。しかし全但バスの例は、自社便どうし、乗り継ぎを前提にダイヤを設定し、運賃も通しで計算されます。片方の便が遅延した際は、無線などで連絡を取り合い休憩時間を調整するそうです。
限られたリソースで、自社エリア内に広くサービスを提供する工夫と言えます。地元客の利用が目立ちますが、浜坂は、夏場の海水浴、冬のカニで関西では有名ですから、観光需要も期待できます。
鉄道のない島では「駅」そのものに
周囲の観光の拠点として活用される例もあります。
道の駅「福良」(兵庫県)は、淡路島の南端、福良港内にあります。大鳴門橋開通まで、四国へのフェリーが頻発していた港で、現在は、鳴門海峡の渦潮観潮船の拠点です。徒歩圏内には、国際ブランドのホテルや、鯛料理を自慢とする温泉旅館が並び、近隣のリゾートホテルも道の駅まで送迎を行います。
もちろん、地元の人がビジネスや買い物で神戸へ出かける際も、道の駅が便利です。高速バスで1時間半ほど。毎時1~2本走ります。淡路島は、島としては人口規模が大きいものの鉄道がありません。本土なら鉄道駅が果たす役割を、道の駅が担っていると言えそうです。
こうして見てみると、高速バスと道の駅の関係性は、道の駅の立地によって変わるようです。
多くの道の駅は、バイパス沿いや高速道路IC近くに立地します。そのため都市部から高速バスで到着すると、二次交通(幹線交通を降りた後の、現地での移動手段)が限られます。かといって、大型テーマパークやアウトレットモールのように一日過ごせるほどの規模はありません。そのため、高速バスが観光客を送り込む、というわけにはいかないようです。
しかしその立地は、逆に言えば地元の人にとっては自家用車でアクセスしやすく、都市部へ出かける際に高速バスに乗り継ぐ拠点としてはぴったりです。一方で「福良」のように観光のハブになる立地なら、都市部や海外からの観光客受け入れにも寄与できます。
それぞれの道の駅の性格を理解すれば、高速バスと道の駅は、互いに協力してもっと地域に貢献することができそうです。
Writer: 成定竜一(高速バスマーケティング研究所代表)
1972年兵庫県生まれ。早大商卒。楽天バスサービス取締役などを経て2011年、高速バスマーケティング研究所設立。全国のバス会社にコンサルティングを実施。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員など歴任。著書に『高速バスのビジネス』(成山堂書店)、『「マーケティング感覚」の実装力』(同文舘出版)。新聞、テレビなどでコメント多数。





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